2014年劇場アニメ 製作堅調もオリジナル企画減少傾向 実写のアニメシフトがトレンド
年末恒例となったアニメ!アニメ!の翌年公開予定の劇場アニメのリスト化を今年も行った。■ 『風立ちぬ』興収120億円も、ポスト宮崎駿、ポスト高畑勲が課題に■ アニメファンにシフトした映画プロモーションの趨勢
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2014年 国内劇場アニメ&イベント上映作品リスト:現時点で約40本、映画館の活況続く
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この結果2013年12月31日現在で、国内劇場アニメ・イベント上映アニメはすでに40本近くに達していることが分かった。昨年の30本強、一昨年の30本、その前年の22本をさらに上回る勢いだ。2014年も、アニメが各地の劇場を席巻しそうだ。
通常この時期の配給会社のスケジュールは、夏までの発表となることが多い。リストでも夏までが27本と大半を占めている。秋以降を中心に現在、未発表の作品がさらに加わることになる。
[数土直志]
2014年 劇場アニメ公開作品リスト
/http://animeanime.jp/article/2013/12/31/16928.html
(こちらで詳細を確認ください。)
■ 『風立ちぬ』興収120億円も、ポスト宮崎駿、ポスト高畑勲が課題に
すでに過剰供給との指摘もあった2013年の劇場アニメだが、アニメに限れば全体として好調だった。何よりも宮崎駿監督の最新作『風立ちぬ』が興収約120億円と大ヒットになっている。宮崎駿ブランドの健在ぶりを見せつけた。
邦画アニメでは、シーズンごとに公開される大型シリーズが堅調だ。シリーズ17年目で過去最高の興収を実現した『名探偵コナン 絶海の探偵(プライベート・アイ)』(約36億円)や、やはり高水準を維持している映画『ドラえもん のび太のひみつ道具博物館(ミュージアム)』(約40億円)などもある。
ファン向けとされた作品では、『劇場版銀魂完結篇 万事屋よ永遠なれ』の16億円超、『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ 新編 叛逆の物語』の約20億円と、300スクリーン以上規模の洋画、邦画の興収を大きく超える作品が現れた。
シリーズ上映スタイルでは、『機動戦士ガンダムUC』や『宇宙戦艦ヤマト2199』、『コードギアス 亡国のアキト』の上映が好調だ。2013年には新たに『攻殻機動隊ARISE』、『PERSONA3 THE MOVIE』、『薄桜鬼』がこれに加わった。2014年以降に新たなシリーズが現れる可能性が強い。
『機動戦士ガンダムUC』や『宇宙戦艦ヤマト2199』の両作は、いずれも2014年に劇場サイズの大作を上映する。(『ガンダムUC』はイベント上映、『宇宙戦艦ヤマト2199』は新作劇場公開)最後に大作といったやりかたが、イベント上映の新たなビジネス進化になるのか注目される。(実写だが『THENEXTGENERATION-PATLABOR‐』がすでにこのかたちだ。)
一方で、劇場アニメは楽観ばかりとは言えない。むしろ、2014年以降は不安要素がより目につく。ひとつは、巨匠・宮崎駿監督の突然の長編アニメからの引退宣言だ。宮崎駿監督の同士でもある高畑勲監督も『かぐや姫の物語』が最後の長編になりそうだ。
スタジオジブリは良質の映画を多く世に送り出してきたが、それでもビジネス的には宮崎駿監督作品が牽引してきた。ビジネスの安定が、期間と資金を十分に投入出来るオリジナル企画の作品を生み出してきた。宮崎駿監督の新作がなくなるスタジオジブリがこれまでの体制を維持できるのか。2014年夏公開の米林宏昌監督『思い出のマーニー』が試金石となる。
そうでなくても2014年は、その本数に比べてオリジナル企画の長編が少ない。多くはテレビシリーズなどの延長線上の作品だ。
現時点で、オリジナル企画性が強い長編は『BUDDHA2手塚治虫のブッダー終わりなき旅ー』(2月8日公開)、『ジョバンニの島』(2月22日公開)、『思い出のマーニー』(夏公開)、『楽園追放 -Expelled from Paradise-』(2014年公開)ぐらいだろう。旧作と切り離された企画として『聖闘士星矢Legend of Sanctuary』(初夏公開)、『STAND BY ME ドラえもん』(8月公開)を入れても数的には寂しい。
これはここ数年、劇場アニメ好調とされるなかで、オリジナル企画では興行的に芳しくない作品が数多く見られたことを反映しているだろう。