“ギリギリを狙っていきました” 劇場版「ペルソナ3」サウンドコンポーザー・目黒将司インタビュー-前編- 2ページ目 | アニメ!アニメ!

“ギリギリを狙っていきました” 劇場版「ペルソナ3」サウンドコンポーザー・目黒将司インタビュー-前編-

11月23日に全国公開、大ヒットを記録している『PERSONA3 THE MOVIE #1 Spring of Birth』。ゲームに引き続き本作の音楽を手がけた、サウンドコンポーザー・目黒将司氏に音楽制作について伺った。

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目黒将司氏
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  • (C)Index Corporation/劇場版「ペルソナ3」製作委員会
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■ ボーカル曲という冒険

--そうして『呼ばれた』音楽が2006年『P3』リリース当時は非常に話題になりました。

--目黒将司氏(以下目黒) 
一応は計算して驚かせたつもりではあるんです。ゲームって何度も何度も同じ曲を聞くんですよね。ゲーム音楽をずーっと作ってるとなんとなく、「こういう曲を何度も聞いてるとプレイヤーはこういう気持ちになるんだろうな」という経験が積み重ねられていく。どこまでがプレイヤーの許容範囲か、驚きが怒りに変わってしまわないか、という閾値をなんとなく探りつつ、ギリギリの線を狙っていきました。

--ボーカル曲には必ず歌詞が入ります。その歌詞に関して気を遣われた部分はあるのですか?

--目黒 
ボーカル曲を何度も流すことに対してはギリギリの線を狙いました。だけどそれ以上振り切ることはできず、実験第一段階をまず踏み出してみたという状態でした。それで日本語詞を避け英詞に。英詞ならプレイヤーの意識をさほど邪魔しない、という思いがあったので。
歌詞は外部の作詞家さんにお願いしたんですけど、世界観に合わせた上で、だけど場面にそれほど引きずられなくていいです、というオーダーはしました。バトルだから「シャドウが出てきて闘ってこいつをぶちのめしてやるぜ」じゃなくていいですと。
闘っている時、主人公はどんな気持ちでいるのか、『P3』のテーマや主人公の気持ちとどうつながっているのか。『P3』のテーマとその場面にある程度則したものであれば自由に作ってください、というオーダーの仕方でした。

■ 『P3』の音楽のジャンルは「フューチャーポップ」

--ロックだけではなくてR&Bやヒップホップといった幅広いジャンルが入っているのは改めて聞いてもすごく面白いですよね。

--目黒
どういうテーマにするのかは、だいたいシナリオや設定ができてきて、サンプルで何曲か作ろうという初期段階に考えます。「ジャンル分け」は社内の皆さんにも伝わりやすいので「今回はロックです」「今回はナントカです」というのでよく使います。
だけど『P3』に関しては、特定の音楽ジャンルに縛られるような世界観ではないと思った。だからぼくの造語で「『フューチャーポップ』というジャンルでやります」と言いました。みんなポカーンとしてましたね(笑)。言ったはいいけど、ぼくもポカーン(笑)。
その後、ネットで調べたら「フューチャーポップ」というジャンルはすでにあって「やべ、被っちゃった」って(笑)。もちろんそのジャンルとは違います。「オレの中の『フューチャーポップ』を作ります」と。

--(笑)。『フューチャーポップ』、具体的におうかがいしてもいいですか?

--目黒 
現実世界の延長線上にある未来ではなくて、『P3』の未来では、そういうふうに変化しているであろうポップミュージック、という「想像のジャンル」です。

--今の世界ではなくゲーム世界で進化した音楽、ということですね。

--目黒
だからといって『P3』の世界で売れていたり流行っていたりする音楽が、『P3』で実際に流れるようなポップなミュージックなのか、というのとはまた別です。「世界観」に合わせて進化したポップミュージックの形はこんなものなのかな、という感じです。

--難しいですが、『P3』の世界内の音楽、というよりは、外側にあって世界全体の空気感を表した音楽というような感じなんでしょうか。

--目黒
そうですね。

後編に続く

劇場版「ペルソナ3」公式サイト
/http://www.P3M.jp/

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