7月18日から21日まで、米国カリフォルニアで開催中のサンディエゴ・コミコンは、全米最大のポップカルチャーイベントとして知られている。数多くのコミックファンや映画ファンが訪れる。メディアの取材も多いとあり、各社、各作品のプロモーションにも力がはいる。宣伝の方法は、壁面広告からホテルのルームキーのデザインジャック、コンセプトカフェまで実に様々だ。しかし、2013年に群を抜いて存在感を放ったのは、映画『Godzilla ゴジラ』だろう。レジェンダリー・ピクチャーズは、2014年5月に全米公開される本作のためだけにダウタウンに特別会場を設けた。会場はダウンタウンからやや外れに位置する。しかも、2階建ての倉庫を改造した建物は、怪獣のビジュアルもなく、そうと聞かなければ見落としそうだ。手掛かりになるのは壁面の嵐のような落書きと、小さく描かれたレジェンダリー・ピクチャーズのロゴである。そして、怪しい日本語のサインがところどころに散りばめられているのが特徴だ。見学者はこのパビリオンの前に集まり、ツアー形式で建物の中に向かう。まず、入口に20名ほどが集められ、ここで虚実入り混じったツアーの注意点などの説明がある。ツアーはサンディエゴに上陸したゴジラに遭遇するというストーリー仕立て。ナビゲージョンのノリの良さは、ディズニーランドのアトアクションを思い出させる。いよいよ倉庫の扉が開けられると、そこに驚愕の世界が広がっている。倉庫一面に昭和の日本が再現されているのだ。電器屋からラーメン屋、街角まで、日本人の筆者には懐かしく、おそらく米国の人には新鮮だ。ラーメン屋のメニューから円谷英二の巨大な肖像、看板や標識に至るまで、細かなこだわりも含めてとてもわずか4日間の特設パビリオンのためとは思えない完成度の高さだ。オリジナルのゴジラや日本カルチャーに対するリスペクトに溢れており日本人にはうれしい。さらにこの町の向こうには、マンガで表現されたゴジラ、ゴジラ関連の資料を集めた嵐などの造形物も用意されている。とにかく凝りまくったの展示に時間を忘れてしまいそうになりそうだ。しかし、ツアー形式のため、鑑賞する時間は限られている。よきところで次の部屋に移動を促される。そして、今回この記事につけられた写真は実はこの第1室だけ。パビリオンは、この後、怒涛の展開を見せる第2室、さらに最大の見せ場となる第3室に続く。残念ながら写真撮影の許可されたのが、第1室だけだったからだ。第2室の舞台は、サンディエゴの保安管理センター(?)らしき場所。ここでゴジラの出現とサンディエゴ進攻が知らせれ、ツアーの参加者は警戒態勢に入る。続く、第3室は、サンディエゴ市内のビルの一室との設定だ。窓の外は全面映像で、そこにゴジラがとおりがかり、さらにゴジラが窓からこちらを覗く演出となる。あたかも映画の中に入り込んだかのような経験が出来る。かなりの迫力だ。このアトラクションを体験すれば、2014年の映画も観たくなるに間違いない。また、その今回の設定や造形は、やがて来る映画の内容も垣間見せる。パビリオンの中に溢れる日本語やオリジナルのゴジラの言及の多さは、海外版ながら原点回帰を大きく感じさせるからだ。映画の情報はまだまだ隠された部分が多いが、その仕上がりを期待させるのに十分である。映画のプロモーションとしても大成功と言っていいだろう。『Godzilla ゴジラ』Godzilla Encounter/http://godzillaencounter.com/ コミコン・インターナショナル(サンディエゴ・コミコン)/http://www.comic-con.org/cci
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