“真正面からSF” 空知英秋先生のグッジョブ!!『劇場版銀魂完結篇』:池澤春菜 | アニメ!アニメ!

“真正面からSF” 空知英秋先生のグッジョブ!!『劇場版銀魂完結篇』:池澤春菜

完結篇と銘打って上映中の『劇場版銀魂完結篇 万事屋よ永遠なれ』のレビュー第2弾。今回は女優、声優、エッセイストとしてマルチな活躍をする池澤春菜さんが、本作の魅力と作品への想いを披露。

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『劇場版銀魂 完結篇 万事屋よ永遠なれ』
  • 『劇場版銀魂 完結篇 万事屋よ永遠なれ』
  • 池澤春菜さん:声優や女優、そしてエッセイとマルチな活躍をする。
■ 池澤春菜 (いけざわ・はるな)

ああ、映画はやっぱり魔法なんだ……見終わった後、しみじみと座席でそう思いました。
まさか銀魂でこんなに感動しちゃうなんて、悔しい。

あらゆることをやり尽くして来ちゃった銀魂。その暴走っぷりはもはや業界内でも伝説で、ことあるごとに局の担当さんが「あ、でも銀魂は参考にしないで下さい」と釘を刺すほど(池澤調べ)。
なのに、劇場版、しかも完結篇。
いやがおうにも高まる期待とプレッシャー。
そうして出来上がったのは、テレビ版で煮詰まりに煮詰まったあれやこれやを、さらに凝縮して、呻吟して、七転八倒した挙げ句の果てのこの劇場版(池澤想像)。
例えるならあれです、蟲毒です、ブラックホールです、超進化です。
開始前にもうクライマックス、みたいな、このギリギリの状況で選んだ設定がSF。あぁ、もう空知先生グッジョブ!!
もともとが「SF人情なんちゃって時代劇コメディー」な銀魂ではありますが、ここまで真正面からSFをやって下さるとは。
このレビュー陣の中に私を加えていただいたのは、SF要員だから、と勝手に思い込んで解説いたしますと。
SFとは、サイエンス・フィクションだったり、スペキュレーティブ・フィクションだったり、センス・オブ・ワンダーだったりしますが、簡単に言えば邪魔もの全部とっぱらっちゃった、至極便利なお話の形。
時間や場所や状況や常識に囚われず、自由にやりたいことやってみようぜ、と突き詰めた結果がSF。
ようするに、可能性の文学。
なんて銀魂らしいジャンル!!
劇場版では、時間→越えました、場所→越えました、状況→もうわけがわかりません、常識→元からありませんでした、とSFの醍醐味をいかんなく発揮。
このメンバーが暴れ回るには、天人の来なかった江戸でも、歌舞伎町でも、だめだったのです。
見終わった後には、銀魂の劇場版、しかも完結篇として相応しい、むしろこの形しかあり得なかった「みんなが待ってた銀魂」に納得しながらも一抹の寂寥感。とはいえ、銀魂のことですからね、きっとまた終わる終わる詐欺に違いない。むしろ終わる終わる詐欺であって欲しい……

劇場版は、長いテレビ版ではない。
たくさんのスタッフと、たくさんの時間と、たくさんの予算、そして沢山の思いを集めて作られる劇場版には、魔法がかかる。
銀魂が大好きな人は絶対。
テレビで何度か見たことあるから基本は知ってる、という人も。
ぎゃーーーーーっいやなことあった!! 銀魂って知らないけど、とにかく笑って燃えて萌えて泣いて、すかっとしたいんじゃぁああああ、という人も。
突き抜けたギャグと。
どこまでも品性を疑う下ネタと。
見惚れるほどかっこいいキャラクターと。
映画ならではの緻密で迫力ある絵が見せる、大きな物語。
作品の、そして銀魂に関わる全ての人の、前に前に進もうとする力。
映画の魔法、銀魂の魔法にかかりに、劇場までお越し下さい。

万事屋よ永遠なれ!!

池澤春菜 (いけざわ・はるな)
声優、女優、アーティストとしてマルチな才能を発揮しつつ多方面で活動を続ける。声優としては、『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』星馬豪役、『マリア様がみてる』島津由乃役、『ケロロ軍曹』西澤桃華役などの代表作がある。その役柄もまた多彩だ。
近年は、エッセイなどの文筆活動も多い。雑誌「Mac Fan」『天声姫語』、「S―Fマガジン」『SFのSはステキのS』、「本の雑誌」『乙女の読書道』などの連載を持っている。

『劇場版銀魂 完結篇 万事屋よ永遠なれ』
/http://www.gintama-movie.com

abesan
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