「絶望の学園」に普通の少年が推理で悩みながら立ち向かう――緒方恵美さん『ダンガンロンパ』のアフレコゲンバ 後編 2ページ目 | アニメ!アニメ!

「絶望の学園」に普通の少年が推理で悩みながら立ち向かう――緒方恵美さん『ダンガンロンパ』のアフレコゲンバ 後編

『ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生 The Animation』。主人公・苗木誠役を演じる緒方恵美さんに訊く後編は、アフレコの様子や、緒方さんが解説するゲームの魅力まで。

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■ モノクマのしゃべりの存在感は、大山さんの世代なら

―― モノクマ役がベテランの大山のぶ代さんというところでも話題になっていますね。

―― 緒方
そうなんです。最初にゲームのときにキャスト表を見たら大山のぶ代さんのお名前があって、ホント!? と。マネージャーに電話で聞いたくらいです(笑)。

何といっても大山さんのモノクマはハカイ的です。大山さんの持ち味である、あの明るいユルめのキャラクターのテンションで、楽しげにヒドイことを言ったりする。存在感がすごいでしょ?(笑)
「ダンガンロンパシリーズ」は、「世代による役者の芝居の差」が、とても良い効果を生み出しているなあと思います。。

ひとくちに役者と言っても、世代によって習ったり流行ったりする演技メソッドが違うので…あのモノクマのしゃべりの存在感は、大山さんの世代ならではだなと。

abesan―― 「世代の差による芝居の差」とは具体的にはどういったものですか。

―― 緒方
大山さん以下、私より先輩世代の声優は、子役や新劇の舞台役者出身の方が多くて、アフレコのときも、舞台のように遠くの距離まで通る声になるんですね。演技もオーバーアクション気味で、特にマンガ的なコミカルな役などでは、圧倒的な存在感があります。
対して、今の若手はナチュラル志向です。そこまで張らなくても自然な声を拾ってくれる機材の発達もありますが、「キャラ=等身大の自分」を求められることも多い。それくらい、よりリアルが求められます。
私自身はその中間…というか途中経過世代ですが、若手とベテラン、両方の芝居を見て、改めてリアルな芝居も舞台的な芝居も、自在にできるようになれたらいいなと思いました。

『ダンガンロンパ』のアフレコ現場では、そういう新しい発見が幾つもあって。
アフレコ現場はみんな仲が良くて和気藹々なんですが、一方で、演じている最中は、学園に閉じこめられた生徒たちと心理的に重なるところも…。音の漏れない小さなアフレコブースに学園のメンバーだけでこもって演じていると、世界にはこの閉じこめられたメンバーだけしか居ないんだ、という心理になってきて、それが作品の持つ閉塞的な臨場感にも繋がっているんじゃないかなと。ってどこのスタジオも同じ環境ですが!(笑)

あと私個人としては、「ゲーム時代からの宣伝隊長」という特殊な職種上(笑)、スタッフさんたちとも比較的同じ温度感で関わらせて頂いているのも、ありがたく思っています。

―― スタッフさんと同じ温度感?

―― 緒方
はい。私たち声優は、実は作品に関われる時間が少なくて、普通は1話に付き、アフレコをしている4、5時間ぐらいしかないんです。でも、この作品では、もっと深く関われている気がします。

岸誠二監督以下、スタッフがゲーム『ダンガンロンパ』が好きで集まっていて、自らチームに加わりたいと入って来るくらいで(笑)。私も同じくらいダンガン好きな上に広報担当なので、アフレコ現場以外でもいろいろ「ダンガン交流」しています(笑)。

先日も、シナリオ打ち合わせを兼ねた飲み会というのに誘われて。そこではちょうど、シリーズ構成の上江洲誠さんのシナリオを、9ページは削らないといけないと議論している最中でした。

■ 熱いカタマリを受け取って欲しい

―― 9ページも削るのは、相当大変そうですね。

―― 緒方
既に相当吟味した後のシナリオなんで尚更…そのとき、岸監督がある部分をさしてこう言ったんです。
「この苗木くんのセリフ、6行切りましょう……緒方さん、この苗木くんの心情を『ため息』一個で表現できますよね?」って。いきなりこっちに話を振られて。
演じるほうとしてはもう責任重大ですよね(笑)。でもそれは、仲間としての信頼の証。原作ファンでもある監督達の「断腸の思い」…わかっているから「ハイ喜んで!」です(笑)。そんなふうにねばって、信じて、渡して作っていく現場なんですね。岸監督の熱意が周りのみんなを動かしているのだと思います。

―― 最後にそんな『ダンガンロンパ』を楽しみにしている読者にメッセージをお願いします。

―― 緒方
膨大なゲームの内容を、アニメでは全13話分におさめるためにシーンやセリフをそぎ落としたり、研ぎ澄ましたりしていて、それが密度の非常に濃いセリフや物語になっている理由でもあります。
非常に熱量の高い、熱いカタマリみたいな作品だと思います。そのカタマリを、ぜひ皆さんにもそのまま受け取って欲しいなと思います。 

『ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生 The Animation』
7月よりアニメイズム枠にて放送開始
/http://www.geneonuniversal.jp/rondorobe/anime/danganronpa/
《animeanime》
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