藤津亮太の恋するアニメ 第10回 キスの記憶(後編) 「とらドラ!」 | アニメ!アニメ!

藤津亮太の恋するアニメ 第10回 キスの記憶(後編) 「とらドラ!」

大好評、藤津亮太さんが届ける”アニメ”の中の恋の数々。今回は、あの名作 「とらドラ!」の登場。「とらドラ!」におけるキスとは?

連載・コラム 藤津亮太の恋するアニメ
藤津亮太の恋するアニメ 第10回
キスの記憶(後編)


『とらドラ!』

作・藤津亮太

偶然にもアニメのキスシーンについて意見交換をしていた僕たちだったが、『とらドラ!』のキスシーンで、ものの見事に意見がわかれてしまった。

『とらドラ!』のキスシーンがでてくるのは最終回の直前第24話『告白』。駆け落ちを決意した竜司と大河は、これまで一度も会ったことがなかった竜司の祖父の家を訪れ、一晩を過ごす。シーツをヴェールにみたてて髪を飾る大河。結婚式のまねごとをした二人は、やがてキスをする。
僕は、あのシーンはもし実写だったら、そのまま二人が並んで敷かれた布団に倒れ込んでもおかしくないと思った。あれはたまたまアニメだったので、そんなことにはならなくて、ベッドシーンのかわりとしてキスが描かれることになったけど。「お互いを求め合う」としか言いようのない、あんなキスをしたら本当はキスで終わるわけがないでしょう。だから、あのキスシーンはかなりエロティックなシーンに見えるのだ。

だけどNは、そうではないという。

「あのね、『とらドラ!』のキスシーンがロマンチックなのは、ベッドシーンのかわりじゃないからよ。あそこで二人が一緒に寝るだろうっていうのは、むしろ平凡でしょう? ありきたりじゃない? あれぐらい強い思いは、キスでしか確かめ合えないからキスをするのよ。フィクションの中のキスシーンっていうのはそういうものじゃないの? いちいちキスをベッドシーンに結びつけるって、こう、『キスすると子供ができちゃうんですぅー』みたいな話と根は一緒のような気がして、イラッ☆っとするのよね」

いつもの調子でNに問い詰められると、いろいろ考えてしまうのは僕が気が弱いからなのか、それともお人好しだからなのか。とりあえずそのとき頭に思い浮かんだのは、『小さな恋のものがたり チッチとサリー初恋の四季』で、チッチが「キスをしたら赤ちゃんが……」と大騒ぎしているシーンだったが、こんなマニアックな作品(学生時代に、“意識高い”先輩に平田敏夫監督を覚えろといってビデオを見せられた)を口走ってもNにはわかるまい。

「確かにそういうところはあるかもしれない。たとえば『鋼鉄天使くるみ』は、キスが女の子ロボットの起動キーになっていたんだけれど、あれも、キスというのが心の領分だからこそ納得できる設定ではあるよね。とはいえ『とらドラ!』のキスシーンは、アニメではかなり生っぽいお芝居の部類だから、あれでセックスを思い出さないのは難しいでしょう」

「アニメの門チャンネル」 第10回
「魔法少女、これまでこれから」

/http://ch.nicovideo.jp/channel/animenomon
2013年6月14日21時半~放映

《animeanime》
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