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藤津亮太の恋するアニメ 第9回 キスの記憶(前編)

アニメにおける”キス表現”は、どこに辿ることが出来るのか?その意味は?いま明らかにされる。藤津亮太さんの連載第9回のテーマは「キスの記憶」。

連載 藤津亮太のテレビとアニメの時代
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「そうだねぇ。そもそも日本のアニメで恋人関係が積極的に描写されるようになったのは……'77年から始ったアニメブーム以降の出来事といっていいと思う。実は極黎明期に『仙人部落』って4コマ原作の艶笑譚があったんで、そこに出てくるとは思うけど、まあ、これは例外的な作品だしね。その後、'70年代まではちょっとした味付けとして、ハプニングでのキスっていうのはあったけど、それ以上でも以下でもないというか」
「ハプニングって?」

「狭い空間で男女どちらかがバランスを崩して、ついうっかり、みたいな。僕は『勇者ライディーン』で見たことがある」
「あはは。それがアリだったのねー」

「これがアニメブームになると、ぐっとラブシーンらしくなる。たとえば……」
「この間、話題に出た『銀河鉄道999』とか? あの後、レンタルで見たけど、確かにラストでキスしてたね」
「そう。あとその前年の'78年にTV特番で放送された『100万年地球の旅 バンダーブック』。これなんかは主人公と血の繋がらない妹が、浜辺に横になりながらキスをする。立ってキスしてる『999』よりも、横になってる分だけ、濃厚というか、ラブシーン感が強い」
「へぇ。なんか『スター・ウォーズ エピソード2 クローンの攻撃』のアナキンとアミダラのラブシーンみたいね。大自然の中でゴロゴロするなんて」
「あはは。まあ、あれはむしろ『エピソード2』の演出センスが古くさいだけだと思うんだけどね(笑)。で、そんな具合に普通にラブシーンが描かれるようになって、さらにはベッドシーンも描かれるようになった。'80年代半ばぐらいにはポルノアニメも登場して、キスってのはある意味、どんどん表現としては普通のものになっていった、と。ポルノの中で、ディープキスのあと唾液が猛烈に糸を引くという新しい表現が生まれたりしてるけどね。さっきNが言った『ママレード・ボーイ』は、東映アニメーションのトレンディー路線の最初だからね。恋愛要素を前面に出してるから、キスも多かったということだと思う」

《animeanime》
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