米国の映画情報サイトIndiewireの「Thompson on Hollywood」が、2012年の第85回米国アカデミー賞長編アニメーション部門の関連ニュースを早くも伝えている。8月28日付の記事「長編アニメ-ション部門ノミネーションは5作品の可能性大、GKidsは4作品が選考対象:Hopes High for Five Animated Feature Nominations; GKIDS To Qualify Four Films」である。 記事の中心は、同部門の選考対象となる作品がすでに20作品を超えているというものだ。映画芸術科学アカデミーの基準によれば、選考対象が16本を超えるとノミネートは自動的に5作品となる。2012年はそれに該当するという。
Thompson on Hollywoodのレポートは、日本以外の作品にも詳しい充実したものだが、それでも日本の作品については十分でない。選考対象作として挙げられた21本に米林宏昌監督の『借りぐらしのアリエティ』が含まれていないからだ。 『借りぐらしのアリエティ』は、2012年2月17日にウォルト・ディズニーにより1200スクリーン以上で全米公開された。ディズニーは2012年にディズニー、ピクサーだけで5本の選考対象作品を持つが、それでも『借りぐらしのアリエティ』をエントリーしないことは考え難い。もし、『借りぐらしのアリエティ』が賞にエントリーすれば、『コクリコ坂から』と併せてスタジオジブリから2作品が同時にエントリーすることになる。
さらに先日、日本のフルCGアニメーション『放課後ミッドナイターズ』が同賞へエントリーしたことがニュースとして伝えられた。プロモーションの意味合いも強く見えるが、日本の製作側は本気でノミネートを狙っているという。ロサンゼルス地区での1週間の商業上映の条件を満たせば、十分選考対象作品となる。 では、実際に『コクリコ坂から』、『借りぐらしのアリエティ』、『放課後ミドナイターズ』がノミネート5作品に残る可能性はどのくらいあるのだろうか。いずれも作品も質は高いが、2012年は近年にない激戦が予想される。例年対象作品は10本台が多いが、今年は「Thompson on Hollywood」の挙げただけでも21本、しかもこの中には『借りぐらしのアリエティ』と『放課後ミドナイターズ』は含まれていない。ノミネート作品が5本となったとしても、実質的な競争率は上がる。 それでも米国の作品はフルCGの大作が多く、ストーリーもキッズ向けの良い話が中心だ。そうした作品と異なる日本のアニメへの評価が増す可能性もあるかもしれない。
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