(インタビュー:2011年5月)■ キャラクターデザインに1人に5体のノルマが アニメアニメ (以下AA) 一番観て貰いたい観客というのはあるのでしょうか?mebae最初、『TAILENDERS』は普通のレースアニメだったんです。異星ではあったのですが、わりと普通のレースというものです。僕らがこの企画で、カゲを黒1色にするテイストにしようと思ったのは、作業の負担を減らす他に「小池健さんの絵でレースアニメがあったら面白い」という発想かあったからです。けれども、その1年後ぐらいに小池健監督でレースアニメの『REDLINE』のPVを見ました。やはり向こうは経験豊富な超ど級のクリエイターと世界的に有名なアニメ会社じゃないですか。絵で負けて、ストーリーも負けていたら目も当てられない。そこでシナリオを練り直そうと。そのひとつとして車輪に依存している世界観にしました。なぜ車なんだろうというのを突き詰めた結果、車の上で生活している世界が出来上がりました。AA 公式サイトを見ますとキャラクターが山のようにいるのですが?河原大さん (以下河原)今回のものとは別に用意していたシリーズ構成案では1話につき新キャラが1人出てくる。mebae1人1話のお話がありました。AA それではまだまだ次の展開は考えてはいる?mebaeもちろんです。今回、パッケージの映像特典では36体のキャラクターを紹介した「キャラ紹介ムービー」を作ったんですけれども、それ以外に100体ぐらい名前を考えています。映像特典をよく見てもらえればその名前が読めるはずです(笑)彼らもたぶん何らかの理由を持ってこのレースに参加したんだろうという思いで作りました。AA 36のデザインというのは、1人で考えるんですか。かなり膨大ですけれど。 河原 いえ、違います。主役級以外のキャラについては、メンバー1人にまず5体のノルマでやりました。mebae全部採用なんですよ(笑)。普通、これはないだろうというやつは採用されませんけど、テイルエンダーズでは「これはないよ」というのも誰かがアイデアを足して全部採用なんです(笑)。河原 別のアニメ企画で考えていたキャラとかも入れてます。アイデアは使わないと損(笑)。■ イラストレーションとアニメの違い AA キャラクターデザインの話もいいですか。mebaeさんはイラストレーションの仕事とかもやられています。今回は微妙にテイストが違うのかなという気がしました。アニメ向けとイラストレーションの絵というのは変えているのですか。mebaeそれは明確に変えています。例えばアニメでやっても効果的じゃない表現もあるんです。イラストで映える表現でも服のしわの細かいところはアニメでやってもしょうがないですし、イラストレーションではフェティッシュな細かい描写を表現しやすいというのがあります。アニメでは単純にした分、動きでセクシーに見せるという必要があります。『TAILENDERS』では、自分のイラストレーションのテイストを出そうという気はまったくなかったんです。けれども、結局、普段のイラストレーションで描いているような女性像になってしまいました。AA 描いている時にイラストの流行みたいなのは考えるんですか。mebae流行というのはそれほど気にしていないつもりです。ですが、同時代のイラストを描いている人の空気を感じている…というのは、あると思います。この人の影響を受けたからこういう絵柄を描くというのももちろんありますが…。今、活躍している方はある種の時代の空気をつかまえていると思う。それは画風が違っても。AA 本能的に感じるものなんですね。mebae結構、絵描き同士は仲良くなりやすいというのがあって、絵を通じて感じるものはすごくあると思います。やはり影響を受けたものも局所的にはたくさんあるでしょうし。AA 一方で商業アニメーションの作画も結構やられています。あれはどうした流れにありますか?mebae大学卒業後にスタジオディーンさんのつてがあって、卒業制作のアニメを送ったら、次の日に設定資料が送られてきて、動画の前に原画をやらないかと(笑)。そのときから、四苦八苦しながら原画の仕事を学びました。というのも、これまで学校でやっていた個人で作るアニメーションと勝手がかなり違うからです。特にタイムシートが未だに慣れません。今でも修行のためにいくつかお受けしています。■ 『TAILENDERS』 詰まっている感が見どころ AA 『TAILENDERS』のなかでは手描きはどの程度使われているんですか。mebaeキャラクターはほとんどですね。河原 絵コンテの段階で、これはCGの方がいいか、こっちは手描きだよねというようにある程度割り振りました。あとはスケジュールの問題で、これは手描きだと終わらないからCGにとかいった感じです。AA 時間的制約はやはりあったのですか。どのぐらいの期間で作られていますか。河原 2ヶ月ぐらい脚本にかかって、1ヶ月ほどトレーラーの作業、そしてさらに2ヶ月以上脚本と絵コンテの修正にかかりました。作画期間は4カ月ちょっとぐらい。2009年のアニメフェアの初号が終わった後にもほぼ全カット直してますからトータルでは長いですね。1年から1年半ぐらいなんじゃないかと思います。AA 逆に思ったよりも短い期間ですね。河原 2倍働いたりとか(笑)mebae普通にやったらたぶんもっとかかります。結構、時間を優先にした部分もあります。本当はもっとこだわりたかったカットや削除したシーンもあるんだけど、アニメフェアに間に合わせなきゃいけないとかがありました。初号試写だけはもう決まっていたので。AA 見どころというか、ここは頑張ったみたいなところがあったら、ぜひお願いしたいんですけど。mebae絵的なシャープさよりも、シナリオ的なシャープさです。物語の初めにちゃんと話が始まって、終わりにちゃんと終わる。大きな物語の一部を切り取ったのではなく、全部見せたところが『TAILENDERS』の魅力です。河原 あまり意識させたくはないのですが、個人制作という話であれば、4人で考えたアイデアがとにかく詰まっている。詰まっている感が見どころです。そしてもったいない作り方(苦笑)mebae繰り返し観て欲しいですね。それとBDの特典も観て欲しい。本編を超える長さの映像特典があります(笑)最初にシナリオとか構成を書いた時にはテレビアニメの企画としての動画革命さんに出していたんです。キャラクターそれぞれの設定がたくさんあるんですけど、それを本編に入れ込めなかったので、その分が33分、キャラクター紹介みたいな感じです。河原 ブックレットの漫画の方も、アニメーション30分ぐらいの内容量はあるはずです。これ単体でもアニメでイケるんじゃないかなと。あと初期プロットや世界観の解説とかもしてます。アニメやゲームの設定資料集が好きなもので(笑)mebae本編が、より楽しめると思います。AA 本日はお忙しい中ありがとうございました。『テイルエンダーズ』http://www.tailenders.com/[スタッフ] 企画・監督・脚本・アニメーション制作 ピコグラフ(太田真、河原大、mebae、佐々木尚) 原画 mebae[キャスト] 羽多野 渉、柚木 涼香 本編27分+特典映像 発売・販売:角川映画BD限定版(初回限定生産) 7140円(税込)DAXA-1148 BD通常版 5040円(税込)DAXA-1149 DVD 3990円(税込)DABA-0764
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