『咲-Saki-』 小野学監督インタビュー 美少女で描く本格派麻雀アニメ誕生の秘密 | アニメ!アニメ!

『咲-Saki-』 小野学監督インタビュー 美少女で描く本格派麻雀アニメ誕生の秘密

インタビュー

小野 学監督
  • 小野 学監督
(インタビュー:2009年4月)

『咲-Saki-』 小野学監督インタビュー
美少女で描く本格派麻雀アニメ誕生の秘密


■ 小野 学 (おの まなぶ)監督 (アニメ監督)
代表作: 『ドラゴノーツ』、『トランスフォーマー ギャラクシーフォース』

■ 『咲‐Saki‐』
「ヤングガンガン」(スクウェア・エニックス刊)で大人気連載中の原作をアニメ化。美少女が多数登場し、麻雀対決の中で友情、愛情を盛り上げていく、かつてないコンセプトが人気と話題を呼んでいる。
制作はGONZO第5スタジオが担当。代表作である「ストライク・ウィッチーズ」で培ったノウハウを最大限に活用する。
また、セガの運用するオンライン麻雀ゲーム「セガネットワーク対戦麻雀MJ4」の新バージョン「MJ4 Ver.C」に『咲-Saki-』シングルモードが搭載される予定もある。この春全国アーケードゲーム稼動予定だが、監督専用カードをセガが制作予定もあり「MJ4に度々監督も参戦するかも!?
今回は実際に麻雀も大好きという小野学監督に、『咲-Saki-』の魅力を伺った。

スペシャルサイト http://www.saki-anime.com


■ 『咲-Saki-』の監督は運命的だった

アニメアニメ(以下AA)
はじめに作品として『咲-Saki-』を初めて知られたきっかけから伺わせてください。

小野学監督(以下敬称略)
作品を最初に知ったのは、主にネット上でこのマンガが話題になっていたのを見てです。こういうマンガがあるんだと知って、そこで読み始めました。

AA そのときは、作品を監督するという前提ではなくてですか?

小野
いや、全然関係ないところです。個人的に麻雀が好きなので、麻雀マンガとかもよく読んでいるので、こういう麻雀マンガがあるんだって、当時は思って読んでいました。

AA
その時はどのように思いましたか。監督というのはまた別にして、作品の魅力はどうでしょうか?

小野
麻雀シーンがきっちり書かれているなというのは、読んですぐに分かりました。その上で女の子がかわいいというので、新たなジャンルの可能性があるなと思いました。
当時はドラマCDが出ることが決まっていた時期で、ドラマCDが出るんだから、きっとどこかほかの会社でアニメ化の企画で動いていて、もう準備しているんだろうと思っていましたね。

AA
その後、アニメはどうですかという話が来たわけですが、これはどういうかたちだったんですか。

小野
当時、別の作品で、GONZOに入っていまして、月曜日の朝に入りましたら、GONZOの企画の人から、こういう作品をうちで動かしているので、監督どうですかと言われたのが最初です。

AA そのときはどのように思いましたか。

小野
実はその前日の土曜日の夜から日曜日の朝にかけてですけど、麻雀を打っていました。その麻雀を打っていた仲間がアニメ業界の人たちで、ここにいる人たちでいつか麻雀アニメとかをやりたいねみたいな話が本当にたまたま出たんですよ。
どういう作品だったらアニメに出来るだろうかみたいな話が出た時に、僕は『咲-Saki-』を知っていたので、実はこういう作品があって、話題になっているんだよと話をしていました。ただその時も、でもたぶんアニメ化はどこかで動いているなと話をしていたんです。その話をした翌日に、本当に話をもらったので、ちょっと運命的なものを感じました。

AA  アニメ化をする時に、では、自分はどこをどうしようというのはすぐに思いつかれたんですか。

小野
そうですね、闘牌シーンがかなりしっかりしていたので、そこは大丈夫だなと思いました。あとは、いかに麻雀を打っている女子高校生がいる世界観を、普通に描けるかということ。麻雀を打っているシーンは、アニメーション的な見どころをつくるのが難しいんですよ。
アニメーションは動いている絵という魅力があるのですが、麻雀は打っている時、基本的な動作以外はない。アニメにするには、それほど向いている題材ではないとは思いました。そこを見せていくうえで、どういうふうにしたら観ている人を退屈させずに出来るかを考えました。

AA
確かに麻雀は動きがないですね。漫画だったら止め絵で対決をみせるというのはありますが。アニメではそれをどういうふうにクリアしていけると思ったんですか。

小野
実際にシナリオや絵コンテと始めてみるまで、具体的な案というのがなかなか浮かばなかったんですよ。コンテを描く段階で、ちょっと見せ方については悩みまして、多少時間はかかってしまったんです。

動きもそうですけれども、マージャンを打っている時間のコントロールみたいなものがアニメーションでは大事かなと思っています。
麻雀を打っている時は、基本的には4人で打つもので、1人がつもって、切ってという動作を繰り返すわけです。けれども、そこをアニメーションで全部書いていったら、尺はいくらあっても足りない。アニメを見ている人もそこを観たいわけではないので、時間をうまくコントロールしつつ盛り上げるにはどうしたらいいんだろうということを考えながら、1話のコンテを描きました。


■ 作中の牌譜が全て存在する緻密さ

AA
テレビで観ていて麻雀の役とかが出てくるのですが、ぱっと出て流れていってしまいます。あの牌はきちんと揃えられているのかとても気になっています。

小野
書かれないところでも、全局、全ゲームの牌譜は作ってあります。

AA それはどなたが組み立てているんですか。

小野
原作の小林(立)先生も、自分であの牌譜を作っているんですよ。僕はあまりにもしっかりした闘牌シーンなので、プロ雀士の監修がついているんだろうと思っていました。初めてお話をした時に、プロの方が監修に付いているんですかと聞いたら、いや、自分で作っていると話されたのでちょっと驚いたんです。

そこで、小林先生から原作にある牌譜をいただいて、それの足りないところをスタッフでやっています。山本浩憲という人間に牌譜監修を頼んでいます。
実はその山本も、この監督の話をいただく前日に麻雀を打っていた仲間の1人であったりするんです。牌譜を全部作りまして、1カット、1カット写真起こし、カットを作る人に渡しています。

AA それは咲のプラマイゼロで和了るに匹敵する緻密さですね。

小野
カットを作る人とか、アニメーションの原画を描く人全員が麻雀を知っているわけでもないし、詳しいわけでもないですから。それこそ一手一手、写真を撮って間違いのないようにしています。

AA
麻雀というとわりと今のイメージだとおじさんのゲームというものもあります。一方で、女の子が麻雀で活躍というそのずれが魅力だと思います。その時に作品は誰に向けて作っているというのはありますか。

小野
もちろん深夜にアニメーションを見てくれる人をターゲットに、作っているつもりです。ただそういう人たちが、必ずしも麻雀に詳しいわけでありません。麻雀を全く知らない人たちにも向かってアニメを発信する時に、どういう作りにすればいいのかというのは、散々話し合いました。結果、麻雀のルールを事細かに作中で説明する必要はないだろうとなりました。

麻雀入門のアニメではないので、それをしちゃうと蛇足過ぎるだろうと考えました。麻雀を知らない人でも、何が起こっていて、どういう状況なのかというのを、映像の表現できっちり分かるように作りたいなと思っています。
凄いことをしているんだったら、演出でこれは凄いというのを分かってもらえる作りを目指しています。

AA  例えば、役満でアガルという、その勢いが出ればですか?

小野
そうですね。役満が何か分からない人も、当然アニメを見ているわけです。
その人たちに向けて役満というのはこういう役なんだよという説明をしなくても、何かすごいことが起きたんだなと分かる演出を目指しています。

AA
するとあんまり説明は入れないけど、楽しそうなことが起きているということで、逆にそれが麻雀への導入になるかもしれないですね。

小野
そうですね。本当に最小限の説明とかは入れたりはしていますけれども、基本的に4人で打つものだとか、サイコロを2回振ってとか、そういうことはまったく説明していません。
アニメやマンガの『咲-Saki-』を見て、麻雀を覚えたいなとか、打ってみたいなと思ってもらえると、個人的にはすごくうれしいです。


■ 作品は正統派の物語

AA
いきなりな話になってしまいますが、出てくる女の子たちのスカートの丈がすごく短いのですが。それは作品のフックとしては有効ですか。

小野 
有効・・・だと思います(笑)

AA
麻雀は麻雀で、でもスカートの丈の短さも、やはり凄く気になって(笑)
これは動いたら大変だとか。

小野
そうですね、でもスカートの丈は短くても、普段座っていて足元とかはあんまり映らないんですけどね。

AA
そうなんですね(笑)。
視聴者向けのサービスというのは、意識されますか。

小野
原作にある部分は、もうきっちり再現したうえで、アニメならではのプラスアルファされた表現とかも出来ればいいなと思っています。

AA
最初の入りは、美少女と麻雀という異色というくくりにされやすいのかなと思うのですが、話は非常に正統派のような気がします。

小野
作中のコンセプトとして麻雀があるけれども、美少女の友情だったりとか、大会における勝負ものだったり。色々な楽しみ方が出来る作品だと思います。
麻雀という部分もしっかりは書きますが、お話は本格的な勝負ものであったり、女の子と部活ものであったり、日常生活ものであったりという部分で間違ってないと思います。

AA
主人公の咲は、最初からすごく天才的に出てきますが、ある意味では、難しくないですか。

小野
いや、そこは主人公というのもあるので、僕はわりとすんなり入れたんです。麻雀は正着を打ち続けても100%勝てるわけじゃない。そこが、麻雀の面白いところだと思っているんです。

『咲-Saki-』の作品の中で、主人公の咲がリンシャンでよくつもるんです。そんなことないじゃんって思うんですが、でも実際に麻雀をやっていると、そういう局面が本当に何千局に1回とかはあったりするわけです。だからその部分があれば、そんなにインチキじゃないという気がするんです。

AA  麻雀が実力プラスアルファなゲームだというところでしょうか。

小野
実力者が必ずしも勝つわけではないところにも面白さがあると思うんですよ。長いスパンで打つと、アマチュアとプロでは絶対にプロの方が上に来るはずです。
でも1回、2回だったら、アマチュアがプロに勝つことだってあり得る、その面白さだと思うんです。


■ キャラクターたちそれぞれの魅力は?

AA
咲は天才的な少女でありドジっ娘でもある、そういうバランスの描き方はどうですか。咲はこんな女の子なんだよという、監督の頭の中にある咲はどういうイメージですか。

小野
麻雀をやっている以外は本当に普通の女の子で、ちょっと引っ込み思案ぐらいなところがあります。日常部分と麻雀を打っている部分をきっちり書き分けることによって魅力が出るタイプだと思っています。

AA
それに対する和はどうでしょうか。実は主人公の咲は努力家でなく天才型で、ライバルである和の方がすごい努力家だったみたいな構造があります。

小野
そうですね、和はおっしゃる通り天才ではないんですよ。麻雀の打ち方でいうと、今の主流の、本当にごく一般的にデジタル打ちと呼ばれる、牌効率を重視した打ち方です。単純にいうと、これを切ると待ち牌が何種類、何牌あるという、その確率のいい方を常に選択していく。

だからそこの選択に間違いはない。選択の高い方を取って打ち込んだとして、それは間違いではなく長い目で見ればプラスなんだという、牌効率論を突き詰めたタイプのキャラクターなんです。
いわゆる天才的な感覚の打ち方ではなくて、理詰めの打ち方をするタイプです。天才肌というよりはやっぱり努力家でというタイプにはなっていますね。

AA
それは和の性格が反映しているのでしょうか?

小野
麻雀って基本的に打っている人の性格って出やすかったりすると個人的には思っているんです。豪快な人っていつも高い手ばっかり狙っているとか、堅実な人はリーチがかかったらきっちり降りたりとか。
和に関しては牌効率でどこまでも行って、だめだなと思ったらきっちり降りきる。そういう几帳面な性格になっていると思います。

AA
あの2人はライバルですか?それとも友達なのでしょうか。これからどう展開して行くのでしょうか。

小野
チームでいうと、同じ清澄高校麻雀部なので仲間なんですけれども、しかし麻雀という競技のうえではやっぱりライバルである。
和は最初に咲と戦ったときに、数字の上では勝っているんですけれども、和からすると咲がものすごくふざけた、なめた打ち方をして、それが気に入らないということで作中で再戦をしたりしているんです。麻雀打ちとして仲間や友達であると同時に、ライバルであるということはずっと変わらないと思います。

AA
あと他のキャラクターの配置ですが、部長の久も魅力的ですね。そしてまこや優希がいます。

小野
やっぱり部長は一番大人ですから、大人の視点で行動していたりするので、すごく魅力的なキャラクターです。まこは2年生で、まこと久は清澄高校の麻雀部が、部員もいなくて大会にも出られないような時期を2人で支えていたという部分があります。
久が3年生になった時に1年生の部員が3人入ってようやく大会に出られるようになったことをものすごく喜んでいる久と、それをまこがよかったなと内心で思っているという、そういう関係性がすごく素敵ですね。優希みたいに本当に麻雀を楽しんで部活動をしているみたいな子が1人いると、部内が明るくなっていいなと思います。

AA
ひとつ疑問に思っているのですが、1年生が3人いる中で2人は素晴らしく強いのですが、優希もうまいんですか?

小野 優希も強いですね。

AA  強いんですか。

小野
優希が強いのは、作中でも言っているんですけど、東場がものすごく強いというものです。麻雀が下手ではなく東場に強いという特性がある。

咲や和は麻雀について、全国大会を目指すという理由にシリアスなバックボーンがあるんです。けれども、優希の場合は単純に麻雀が好きなんです。
和と中学時代からのクラスメートなので、和のことは友達として好きで、楽しい部活の一部として麻雀を打っています。


■ キャラクターも麻雀もきっちりと描かれる

AA
麻雀アニメには『アカギ』とかがありますし、あとは麻雀ではありませんが『ヒカルの碁』とか『しおんの王』みたいな、いわゆる文化系のスポーツだと思うんですが、そうした作品が先達としてあります。そうした作品とはここが違う、あるいはここは同じだといったことはあるんでしょうか。

小野
勝負論というものに関しては、根底は似ていると思います。ただ、美少女が麻雀を打つ、普段の生活の中に麻雀があるところは、ほかの作品と比べて違うものであると思います。

AA  この先、話はどういうふうに進んでいくのでしょうか。

小野
主人公の咲が麻雀部に入り、そこから清澄高校として全国大会を目指して麻雀の県大会の予選に望むわけです。そこから予選を勝ち抜いて決勝に行って、その結末がどうなるかというところまできっちり描いていきます。

AA  人間関係も少し変わってくるとかはありますか?

小野
咲と和の出会いって、最初の出会はお互いにあまり印象はよくなかったはずなんです。特に和は咲に対して、何てふざけた麻雀を打つんだという悪い感情が最初にあった。
けれども、そこから咲のことをすごい打ち手として認めていって、個人的に友情をはぐくんで、チームメートとなって一緒に全国を目指すという気持ちの流れは、大会に入る前にきっちり書いていきたいと思っています。

AA  最後になりますが、作品の最大の見どころはどこになりますか?

小野
まずは根幹には麻雀があるので、麻雀に関しては本当に嘘をつかないで作ろうと思っています。麻雀を知っている人が見ても、知らない人が見ても、単純に面白いと言ってもらえるような作品づくりを目指していきます。
一方で、咲や和をはじめとする美少女キャラクターがいっぱい出てきますので、その女の子たちの魅力を最大限に引き出すためのお話づくりであったり、映像づくりは常に心掛けてやっています。

AA  そうすると2つ同時においしいという作品ですね。

小野
そうですね。麻雀はやっぱりスパイスであって、キャラクターの魅力を存分に書くということに関して力を入れています。けれども、決してそのほかにも手を抜かずに、麻雀もしっかりやっていこうと思っています。

AA 本日はありがとうございました。
《animeanime》
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