第14回文化庁メディア芸術祭 多角的な短編アニメーション | アニメ!アニメ!

第14回文化庁メディア芸術祭 多角的な短編アニメーション

レビュー 展覧会

文: 真狩祐志

 2月3日から13日まで国立新美術館および東京ミッドタウンにて第14回文化庁メディア芸術祭が開催された。会期中には展示や上映のほかにシンポジウムなども行われ、2月2日の「バルト三国での日本のアニメ人気事情」や2月3日「世界のアニメーションフェスティバルから発信される表現の魅力」では、新海誠氏の影響が見られる短編アニメーション『Я люблю тебя(I Love You)』が紹介されて話題となった。

 アニメーション部門では石田祐康氏の短編アニメーション『フミコの告白』が優秀賞を受賞したことでも注目された。2月12日の「アニメーション部門優秀賞『フミコの告白』作家トーク」では、石田氏が自ら監督した当作品について解説した。
 石田氏を含む5名での制作とはいえ、プロのアニメーション制作の現場に引けを取らないプロダクションワークであることを改めて実感させられた。同日、石田氏はその前の時間帯の「ネット時代における映像の多様性:表現と配信について」にも出演している。

 短編アニメーションの概況については、2月8日の「若手アニメーション作家が目指すもの」や2月13日の「アニメーション部門受賞者シンポジウム」などでも語られている。こちらは同じく優秀賞を受賞した『わからないブタ』の和田淳氏らが出演した。
 当芸術祭において石田氏は、短編アニメーションを題目とした出演はなかったが、短編アニメーションと銘打たれる場合には『フミコの告白』のような作風がカテゴライズされにくい印象を持つ人が多いように思われる。
 当時『フミコの告白』が公開された後には、各メディアで石田氏のインタビューなどが掲載されていた。ただ、それを読んで「違和感」を持つ人が少なからずいたようでもある。というのも、これまで『フミコの告白』のような作風は大学において「異端」とされやすい風潮があったからでもあるだろう。しかし今や、大学の正規教育によってそうした作品が出てくるようにもなっている。そのことに対する「違和感」でもあるに違いない。

 「ネット時代における映像の多様性:表現と配信について」は部門クロストークとなっており、石田氏のほかアート部門で『NIGHT LESS』が優秀賞の田村友一郎氏とエンターテインメント部門で『Tabio Slide Show』が優秀賞の児玉裕一氏が出演した。田村氏は『NIGHT LESS』でGoogle Mapの画像を利用してコマ撮りともとれる映像表現を行った。児玉氏は3年連続でSPACE SHOWER MUSIC VIDEO AWARDSのBEST DIRECTORに選ばれるなど、近年で最も勢いのあるミュージックビデオ監督である。
 文化庁メディア芸術祭においてアニメーションは短編の場合、アート部門とエンターテインメント部門にも応募が可能である。2月5日の「ミュージックビデオの可能性」には『ラストピース 花沢悦子編』で審査委員会推薦作品の水野貴信氏、2月12日の「エンターテインメント部門受賞者シンポジウム」には『夏を待っていました/amazarashi』で優秀賞のYKBX氏も出演した。水野氏もYKBX氏も共に少人数でアニメーションによるミュージックビデオを制作している。

 短編アニメーションというと大部分の作業を個人が負うイメージも持たれがちであるが、映画祭などで受賞している海外作品でもプロダクションが制作したものが多々見られる。国内でも例えば水野氏が所属する神風動画の作品がアヌシー国際アニメーションフェスティバルなどで上映されたりしているなど、国内の中小規模のプロダクションの作品もあるものの、国内ではその側面で語られることが意外と多くない。
 その一方で、『わからないブタ』の和田氏が卒業した東京藝術大学大学院映像研究科アニメーション専攻は「大学がプロダクションの役割も担う」と明言している。この点では、個々人での制作であっても大学という「集団」といった位置づけにもなる。

 さらにアニメーションが何を目的として制作されているのかにも目を向けると、アニメーション部門のほかに見られる作品の理解が可能だ。特にエンターテインメント部門は多方面へのプロモーション展開を念頭においているものが基本的に多く、そのうちの1つとしてアニメーションが制作されているという場合もよくある。2月11日は「エンターテインメント部門推薦作品『豆しば』作家トーク」も行われたが、この『豆しば』もキャラクター展開の1つとしてアニメーションが制作されていることからでも分かるだろう。

 国内における短編アニメーションの状況は、年を追うごとに大学生の作品の比重が増してきている。これも結局のところ、アニメーション制作がプロモーションや商品展開などといった用途に影響されるかどうかといった部分も一理ある。中小のプロダクションがオリジナル企画を立てて制作するにしても、単にアニメーションを制作するというだけでなく、それに付随した展開まで念頭に置かざるを得ないからでもある。その辺りが作品のあり方への分水嶺ともなっているようだ。
 とかく短編アニメーションは「作家性が強い」、「アート色が強い」といった感想が聞かれがちだが、字義通り「短編=尺が短い」と捉えるだけでこのように多角的な視点を回復させられるのではないだろうか。

文化庁メディア芸術プラザ /http://plaza.bunka.go.jp/festival/
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