10月16日、福岡市の天神イムズにある三菱地所アルティアムで「話の話 ロシア・アニメーションの巨匠 ノルシュテイン&ヤールブソワ」展が始まった。本展は神奈川県立近代美術館の企画で国内を巡回している。これまで同館のほか高知県立美術館でも開催された。
今回の展示ではノルシュテインがアニメーション制作の元としたエスキース(イメージ画)や切り絵の撮影に使用するマルチプレーンをイメージしたマケット(模型)などを見ることが出来る。特に40年以上連れ添ってきたノルシュテインの妻・ヤールブソワの存在も見逃せない。
初日は「美術史から見るノルシュテインの創造」と題し、神奈川県立近代美術館の学芸員・籾山昌夫氏による記念トークと各ノルシュテイン作品の上映が行われた。トークでは、展示に沿ってノルシュテイン
のアニメーションを作る以前から制作中の『外套』までを時代背景と共に解説した。
籾山氏は、スライド中でノルシュテインが描いた未公開の自画像を見せたり、展示の準備でノルシュテインのスタジオを訪問した話なども交えた。また、神奈川県立近代美術館での開催の様子と福岡での展示を比較し、福岡はノルシュテインのスタジオがイメージ出来ていてよいと述べた。
三菱地所アルティアムは、アートギャラリーとして様々な企画展示を行ってきた。アニメーション関連もそのひとつだ。近年では『造形と映像の魔術師 シュヴァンクマイエル展』、『村田朋泰展-俺の路・東京モンタージュ-』などで、最近では『リサとガスパール、ペネロペ展』、『くまのがっこう 絵本原画展』だ。『リサとガスパール』と『くまのがっこう』は、今年の劇場公開作品でもある。今回も、巨匠ノルシュテインを紹介する貴重な機会となった。
福岡・三菱地所アルティアムでの開催は11月28日までで、その後、12月11日からは栃木の足利
市立美術館となる。神奈川県立近代美術館での開催時に来館出来なかった関東圏の人には朗報だ。
【真狩祐志】
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足利市立美術館 /http://www.watv.ne.jp/~ashi-bi/
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