技術とストーリーの間で揺れた 第22回CGアニメコンテスト | アニメ!アニメ!

技術とストーリーの間で揺れた 第22回CGアニメコンテスト

10月9日、京都の立命館大学朱雀キャンパスにて第22回CGアニメコンテストとCGアニカップの上映会が開催された。大阪のPROJECT TEAM DoGAが主催する同上映会

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 10月9日、京都の立命館大学朱雀キャンパスにて第22回CGアニメコンテストとCGアニカップの上映会が開催された。大阪のPROJECT TEAM DoGAが主催する同上映会は、昨年よりコ・フェスタ(JAPAN国際コンテンツフェスティバル)の公認を受けた複合コンテンツイベント「KYOTO CMEX」のひとつとして実施されるようになった。
 昨年と会場が異なるうえ、あいにくの雨模様とあって客足が懸念されたものの、最終的には500席がほぼ埋まった。一方、今年は初めてUSTREAMでのライブ配信も行っており、こちらは1400名を超える視聴者数となった。京都での開催以前は東京と大阪で行っていたため、他地域のファンに配慮したものだ。

 DoGA代表の鎌田優氏は冒頭の挨拶で、今回募集された作品の傾向として本審査で差がつかず審査員一同かなり悩んだことを挙げた。その結果、入選のボーダーラインに10作品以上が並ぶ状況で、審査員の点数のつけ方次第で作品の順位が3から5くらい入れ替わってしまう混戦になったという。
 結果については既報の通りである。今回も昨年同様に尺の長い作品が集まったため、上映会との兼ね合いから入選した作品が少なめとなった。入選16作品中、5分以上10分以下が5作品、15分以上20分以下が2作品である。

 また今回は前回一旦なくなった外伝が復活した。外伝は惜しくも入選しなかったが、選外としてしまうには惜しい作品の枠である。
 外伝大賞を受賞したのは久海夏輝氏の『魔王のセカイ』だ。審査の段階で、審査員からこの作品を入選としてしまって大丈夫なのかと声があがった作品だ。結果としてCGアニメコンテストは問題なしとした。CGアニメコンテストは、他のコンテストや映画祭などでは入選しにくい作品も上位に入るのが特徴である。このため毎回、グラフィックなどの技術面とストーリーなどの内容面との評価が審査員と運営との争点になっている。
 外伝大賞を受賞した作品はこれまでも上映されてきたが、今回はそうした事情を背景として会場で来場者にその是非も公にして問うとしての上映になった。

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 上映会全体を通して見ると、昨年まで行われていた入選者座談会から各作品上映後に各氏が壇上に上がってコメントを述べる形式に変更になるなど、若干慌しい印象を受けた。これには2日間開催から1日に変更となりCGアニカップも同日になったことも含まれる。これについては、フランスチームの来場
が取りやめになるなど、経済産業省による事業仕分けの影響が及んだという。
 また、CGアニメコンテストはこれまで春に開催から、昨年よりKYOTO CMEXで実施するようになったのに伴い秋の開催となっている。下半期はコンテストが集中する時期で、CGアニメコンテストは新たにそれらの動向を占う指標にもなっている。

 そうしたなかで新作として登場した作品は、『セピア色のとけい』(きのしたがく)、『ロックンロールインマイべッド』(渋江修平)、『Nirvana』(斉藤哲昌)、『雨の休日』(金子修)、『フルーティー侍』(ハッピープロジェクト)、『ロボティカ*ロボティクス』(山本蒼美)、『farm music』(大桃洋祐)、『ロボと少女(仮)』(アオキタクト)、『CHILDREN』(岡田拓也)の9作である。
 このほか既に賞歴を重ねている作品もある。柴田大平氏の『The Light of Life』はSIGGRAPH 2010のコンピューター・アニメーション・フェスティバル、石田祐康氏の『フミコの告白』は今年のオタワ国際アニメーションフェスティバルにそれぞれ入選などしている。
 また『Googuri Googuri』の三角芳子氏は横浜の東京藝術大学大学院映像研究科アニメーション専攻の出身で、最近ではNHKのみんなのうた2010年8月・9月の新曲『きみのきもち』を制作する。ハッピープロジェクトは『フルーティー侍』でクリエイティブマーケット東京2010のTCMアワード2010で5つのTCMサポーターズ賞を受賞している。
【真狩祐志】

CG ANIME EX /http://cganime.jp/EX/
PROJECT TEAM DoGA /http://doga.jp/

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