アニメビズ10大ニュース(7) 活性化する地方アニメスタジオ
アニメ制作企業は、東京都、それも西部地区に集中する傾向が強い。戦後日本の商業アニメの基礎を築いた虫プロダクション、東映アニメーションといったスタジオが東京都西部にあったこと、アニメの制作にはフィルムや原画・動画、セル画の物理的なやりとりが必要なこと
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しかし、2009年からこうした流れが大きく変わるかも知れない。地方に立地するアニメスタジオが相次いで誕生したからだ。
2009年4月に日本を代表するアニメスタジオであるスタジオジブリが、愛知県豊田市のトヨタ本社の一角を借り受けて、若手アニメーター育成のための西ジブリを設立した。また、同じ4月には徳島市には『空の境界』で知られるユーフォーテーブルがアニメスタジオ分室を設立している、
さらに産官学連携として、神戸市、神戸芸術工科大学、JAniCA、Wishが運営するアニメスタジオ アニタス神戸が2010年3月スタート、宮城県白石市でも旭プロダクションによるアニメスタジオの計画が明らかになっている。一気に地方のアニメスタジオが広がる。
既存の地方アニメスタジオでは、京都アニメーション制作の作品から『けいおん!』の大ヒットが誕生している。『涼宮ハルヒの憂鬱』、『らき☆すた』に続くヒットで、スタジオのブランド力をさらに強化した。
また、富山県のピーエーワークスは、2008年の『true tears』を最初に、元請制作に乗り出し高い評価を受けている。2009年には初の劇場映画の元請作品となる『レイトン教授と永遠の歌姫』を制作した。
地方のアニメスタジオの利点は、都心では離職率の高いアニメ制作スタッフをじっくりと育てられることである。こうした実情は、若者の雇用や新規産業の育成に悩む、地方自治体の利益とも一致する。
2009年に設立、設立計画が明らかになったスタジオは、何かしらのかたちで、人材育成、地域振興と結びついているのもこうしたことが理由である。