劇的3時間SHOW 田口浩司氏トーク ゲストに竹田靑滋P | アニメ!アニメ!

劇的3時間SHOW 田口浩司氏トーク ゲストに竹田靑滋P

10月6日、東京・青山のスパイラルホールにて、スクウェア・エニックス田口浩司氏が出演する劇的3時間SHOWが開催された。劇的3時間SHOWは、今年で3年目を迎えたJAPAN国際コンテンツ フェスティバル(コ・フェスタ)のオリジナル企画である。

イベント・レポート
注目記事
 10月6日、東京・青山のスパイラルホールにて、スクウェア・エニックス田口浩司氏が出演する劇的3時間SHOWが開催された。劇的3時間SHOWは、今年で3年目を迎えたJAPAN国際コンテンツ フェスティバル(コ・フェスタ)のオリジナル企画である。
 コンテンツ分野の一線で活躍するプロフェッショナルを迎え、その経験を語るものだ。通常の講演会やセミナーと異なり、与えられた3時間を出演者が自ら演出するのが特長だ。毎回、出演者の個性に合わせた企画が魅力になっている。

 田口浩司氏はアニメコンテンツプロデューサーの肩書きでの出演だが、アニメとくくるにはやや違和感がある。同氏は『鋼の錬金術師』などのプロデュースで知られるが、その仕事はアニメだけでなく、出版や宣伝、音楽など多岐にわたるからだ。
 そして、今回のトークも、ここからスタートした。まず、田口氏は自身がこれまでアニメプロデューサーとの肩書きを名乗ったことがないことを挙げ、アニメコンテンツの定義から語った。
 田口氏にとってのアニメコンテンツは、テレビアニメ、アニメ映画、テレビゲーム、実写映画、テレビドラマも含めた概念なのだという。ひとつの作品から派生するマルチメディア展開全てを含んだものとなる。また、それはアニメの中核からやや離れ、マンガからアニメ、ゲーム、音楽へと幅広く展開するスクウェア・エニックスらしい視点だとも言える。

         3jikan2009.JPG

 そのうえで田口氏は、マーケティングの視点で現在のアニメビジネスの構造を読み解いて行く。例えば、現在のアニメは大きく分けて4つのジャンル「萌え」、「ふ女子」、「シュールギャグ」、「少年王道もの」に分けられるといった具合だ。そして、それぞれのジャンルにファンを惹きつけるフックが必要だとする。
 トークの中で一貫して述べられていたのは、アニメを創り出すためのストラテージの必要性に感じた。それはトークの冒頭にあった、作りたいものを作るのが大切、しかし、そのためには儲かる必要があるという言葉につながる。そこにはクリエイティブとビジネスの両立を実現させなければいけないプロデューサーの仕事の厳しさが表れている。

 トークの後半には、毎日放送の竹田靑滋プロデューサーがサプライズゲストとして登場した。竹田プロデューサーは田口氏と伴に、毎日放送で『鋼の錬金術師』、『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』に携わる人物だ。また『機動戦士ガンダムSEED』シリーズなどの局プロデューサーとしてもよく知られている。
 大物プロデューサーの登場に会場の後半のトークは、さらに熱が入ったものとなる。そして、放送局からみたプロデューサーの視点も、出版社から見たそれとはまた異なるものがあり興味深いものだ。

         3jikan20092.JPG

 例えば、「自分が本当にやりたかったのは『毎日かあさん』のような作品、でも、いまはそうした作品はお金が集まらない」といった、放送局の環境などにも言及する。
 そして、作品のヒットについては、「当たる当たらないは分からない。努力したから当たるわけではない。でも、当たる作品は努力している」と、コンテンツビジネスの厳しさを説明する。そのうえで、ビジネスの判断については、「結局はひと、信頼出来るかどうか」と人との関わりの重要性にも触れた。

 第1部、第2部とも、田口氏、竹田氏の話は非常に面白いものだった。しかし、むしろ今回のトークの成功は、観客と出演者のトークにあった。質問の時間をたっぷり取り、出演者がそれにひとつずつ丁寧に答えるものだ。
 会場の演壇と観客席に距離を設けないレイアウトもあり、会場が一体となり語り合うかたちとなった。それはまさに劇的3時間SHOWの狙っているものである。
 質問はビジネスについての専門的なものから、仕事の上の相談といった幅広いものである。それぞれが質問者個別の問いで終わらず、それを会場で共有することで、全体の話がより広がって行く。結局トークは、30分オーバーの3時間半となったが、参加者にとっては満足度の高いものとなったに違いない。

劇的3時間SHOW  /http://www.geki3.jp/cast_taguchi.php
《animeanime》
【注目の記事】[PR]

特集