「慣れたら死ぬぞ」富野由悠季 ゲームとCGを語る | アニメ!アニメ!

「慣れたら死ぬぞ」富野由悠季 ゲームとCGを語る

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CEDECDRTOMINO2.JPG 講演時間は1時間20分だったはずである。そして、実際に、時計をみればきっかり1時間20分しか進んでいない。しかし、わずか80分の中にいかに多くのテーマと論点が含まれていたことか。
 パシフィコ横浜会議センターで開催されたCEDEC2009の2日目の基調講演に立ったアニメ監督富野由悠季氏の「慣れたら死ぬぞ」と題されたレクチャーはそう感じさせるのに十分だった。とにかく盛りだくさんの内容だ。

 出だしは、映画、アニメ、ゲームの関係である。富野氏は、かつてマンガ映画と呼ばれたアニメは、それに先立つ映画から下に見られていたこともあり、仕事を教えて貰うことはなかったと語る。
 そうした例を引き合いに出しつつ、映像に頼った作品という点でアニメはゲームの前にある、仕事の仕方に同じ方向があるのではないかと、自身がゲームを語ることの意味を説く。

 しかし、一方で 富野氏はゲームの現状に対して辛口だ。それは意図的に聞き手を挑発しているようだ。例えばゲーム開発者たちを前にして、「テトリス」以来、真に新しいゲームは生まれていないと断定する。「新しいハードウェアが出て、それに合わせて新しいソフトが出るだけで、新しくなっている気分なのでは?」と問いただす。
 また、CGで描くキャラクターに対しては、「CGの絵は絵になっていない。CGの作画は理系の仕事。それがCGの絵がつまらない理由」とする。

 勿論、これは批判ではない。全て、今回の演題「慣れたら死ぬぞ」につながったものだ。富野氏は、ゲームの本質は数種類しかないとし、新しいゲームを創造するのがいかに難しいか承知済みだ。しかし、そこで敢えて挑戦的に話すことで、発言に対する反発から新しいものが生まれてくると信じているように見えるのだ。
 CGアニメについても、CGはペンや筆とは少し質が違うものと話す。「CGアニメには輪郭線がない。影使わずに輪郭線が出せたら凄いだろう」、「CG作画の仕事は、デザイナーから絵描きの仕事に移りつつある。CGの作画表現はこれから変わる。それはピクサーの様なものでないはずだ。もっとやれるはずだ」とポジティブな未来を広げる。
 そして新しいやり方については、「そのハウ・ツーは僕には分からない。分かっていれば自分でやる」と、これからの世代が生み出すことに期待する。

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 こうした言葉は会場に、これからの時代を背負うゲーム関係の若者が多かったことと無関係でない。富野由悠季監督のアニメ作品に繰り返し立ち上がるテーマがあるように、富野氏の講演には同様にそのタイトルは異なっても同じテーマがしばしば現れる。
 そのひとつは「若者論」だ。富野氏は「若者の才能をつぶすな」、「若い才能を大切にしろ」、「若者と仕事をしろ」と繰り返す。だからこそ富野氏は、若者を前にした時に饒舌になるのだ。
 そして富野氏は若者に対して、「原理原則で考えろ。しかし、原理主義に陥るな」、「自分の個性を信じるな。自分の能力だけを信じると大きな作品は達成出来ない。自分の位置づけを客観的に理解しろ」と若者にメッセージを送り続ける。

CEDEC2009 /http://cedec.cesa.or.jp/2009/
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