ロカルノ国際映画祭は、カンヌ、ベルリン、ヴェネツィアと並ぶ世界有数の国際映画祭として知られている。そのロカルノに、細田守監督の『サマーウォーズ』が日本アニメ初の国際コンペ出品されることが決まった。 また斬新な映像作品のコンペテイションFilmmakers of the Present Competitionには『宮本武蔵 -双剣に馳せる夢-』(西久保瑞穂監督)の出品も決まっている。野外大劇場ピアッアグランデでは、『REDLINE』(小池健監督)や『平成狸合戦ぽんぽこ』(高畑勲監督)の上映も予定されており、日本アニメの存在感が大きくなっている。
こうした日本アニメの存在は、ロカルノが今年の映画祭の特集を日本のアニメーションに定めたからである。このため様々な企画に日本のアニメーションが組み込まれている。ピアッアグランデでは、深夜特集としてマンガナイトを設けて、『機動戦士ガンダム』や『つみきのいえ』、『FIRST SQUAD: THE MOMENT OF TRUTH』も上映する予定だ。 さらに映画文化の最新トレンドを紹介するIci&Ailleusでは、Anime Nowと名づけた企画で『ONE PIECE エピソード オブ チョッパー プラス 冬に咲く、奇跡の桜』、『天元突破グレンラガン 螺旋篇』が紹介される。これ以外にも各セクションで日本のアニメーションが登場する。
しかし、日本のアニメーション特集の中心は、Manga Impactと名づけられた特別企画である。企画タイトルは昨年から明らかにされていたが、上映作品はこれまであまり公表されていなかった。映画祭まで残り3週間となる中で、今回膨大な数の日本のアニメーションを含んだManga Impactの全貌が明らかにされた。 上映作品はとにかく数が多く、軽く50本は超える。日本アニメーションの起源(Discovering Japanese Animation From its Origins)、富野由悠季特集、高畑勲特集、GAINAX特集、板野一郎特集、短編アニメーション特集、リストロペクティブ:映画、テレビ、短編アニメーションなど複数の特集から組み合わせられている。その数、作品の領域の広さは、これまで日本国外ではない大規模なものだ。
Manga Impactのタイトルからは、日本の商業アニメのみが思い浮かびがちだ。しかし、作品はそれだけに止まらない。戦前、戦中の初期の作品や短編アニメーション、実験アニメーション、アートアニメーションなども数多く含む。さらにガイナックスのアマチャア時代の作品であるダイコンフィルムの上映も行うなど、日本のアニメーションをトータルで理解出来るものとなる。 商業アニメでも『長靴をはいた猫』や『サイボーグ009 超銀河伝説』、『伝説巨神イデオン 発動編』など、国内でよく知られているが、海外であまり紹介されてこなかった作品が含まれているのも特徴だ。