米国最大の日本アニメの流通会社であるファニメーションの2009年3月期の年間売上高は、およそ7000万ドルとなった模様だ。同社の親会社ナバレ・コーポレーション(Navarre Corporation)の年次報告から明らかになった。 2008年3月期の売上高は約6100万ドルだったと見られるから、業界の不況にも関わらず売上高を増加させた。おおまかな推定となるが、2009年3月期の同社の売上高は10%台前半の高い伸び率となる。 また2007年3月期の売上高は4000万ドル台とされている。ファニメーションは、安定的な企業成長を続けている。 ファニメーションの中核事業である北米のアニメ映像パッケージの市場縮小が続くなか、こうした同社の成長は意外感もあるかもしれない。しかし、2007年からライバル企業の市場撤退や縮小が続き、これらの企業が持っていたシェアを奪うことで同社は成長している。 日本のアニメ、マンガ関連の企業では、マンガ出版をコア事業とするVIZメディアが、日本円で100億円程度の売上があるとされている。北米のアニメ・マンガ分野では、ファニメーションとVIZメディアの2強体制が築かれつつあるようだ。 それでもファニメーションは、ライバル企業としてVIZメディア、バンダイ、ADVフィルム、メディア・ブラスター、スターズ・グループ(マンガ・エンタテインメント)といったアニメ関連企業に言及している。さらにソニーやウォルト・ディズニーを、より広い範囲でのライバル企業とする。 こうした企業との競争状況は、同社の業績に影響を与えるリスク要因のひとつというわけである。同社は同様に、現在取り扱っている作品の構成に対するリスクも開示している。 ファニメーションによれば、同社の売上高の46%は、ひとつの作品から生み出されている。この具体的なタイトルには言及していないが、これは『ドラゴンボール』シリーズとみられる。 また、同社は200以上の日本の権利ホルダーとビジネスを行っているが、売上高の66%は3つのライセンサーとの契約によるものである。このためファニメーションにとってこうしたライセンサーとの良好な関係は、ビジネス上極めて重要になっている。 また、同社は年間通じた営業段階では利益を出したとみられるが、最終段階の業績はマイナスになったとみられる。それは多額の特別損失を計上しているためである。 前期にファニメーションは、不振となっていた児童向けのアニメ作品からの撤退を決めた。これは同社がより得意とする青年層向けのアニメ事業に特化するためである。現在同社は、コアターゲットを18歳から34歳の若者と定めている。 児童市場からの撤退により、およそ820万ドルのライセンス料とDVD制作コストを特別損失に計上している。 さらに2005年にナバレがファニメーションを買収した際に発生したのれん代7120万ドルが一気に償却されている。のれん代は企業買収価格と実際の企業の資産価値との差額であるが、ナバレは今回これを償却することで、2010年3月期以降のファニメーションの利益を確実に計上する方針とみられる。ナバレ・コーポレーション(Navarre Corporation)/http://www.navarre.com/ファニメーション (FUNimation Entertainment) /http://www.funimation.com/当サイトの関連記事/米 ファニメーション昨年売上高65億円 4割がドラゴンボールZから
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