1月4日に発表された全米映画批評家協会の2008年作品賞に、イスラエルの映画監督アリ・ファルマン氏による『バシールとワルツを』を選ばれた。『バシールとワルツを』はイスラエルとその隣国レバノン内戦を描いたドキュメンタリーアニメーションである。 そのシリアスなテーマをアニメーションの映像表現方法を使うことで、注目を浴びている。既にカンヌ映画祭の公式出品作に選ばれたほか、ロサンゼル映画批評家協会のアニメーション賞など受賞するなど数多くの映画賞に輝いている。日本でも第9回東京フィルメックスの最優秀作品賞を受賞している。 今回は全米映画批評家協会の作品賞を、アニメーション映画として初めて獲得した。評価の高い作品であるが、米国のメディアから快挙として受け止められている。またドキュメンタリー映画としても史上初で、作品への高い評価が伺われる。 作品は1982年のレバノン内戦に参加した主人公がその過去を辿るもので、監督自身の経験を反映している。戦争をテーマにしたこうした重たい内容が、不安の時代である現在、米国の映画人の心にも重くのしかかったのかもしれない。 全米映画批評家協会は、協会メンバーの投票によるポイント制で決定する。他の賞と異なりユニークなのは、受賞作品以外に上位3作品が公開されることだ。 この作品賞の3番目の作品として、別のアニメーション映画『WALL・E/ウォーリー』も挙げられている。全米映画批評家協会作品賞の上位3作品のうち2作品までがアニメーションだったことになる。 『WALL・E/ウォーリー』は、既にロサンゼルス映画批評家協会、ボストン映画批評家協会、シカゴ映画批評家協会でそれぞれ最優秀作品賞に輝いている。これもアニメーション映画としてはかつてないことである。 2008年に賞レース向きの映画が少なかったことも原因だが、これまでエンタテイメント一色とみられていたアニメーション映画に対する評価が変わっているとも言える。こうなるとやはり気になるのが、アカデミー賞の行方である。 長編アニメーション部門で、『WALL・E/ウォーリー』と『バシールとワルツを』が最優秀賞を巡る争いをしそうだ。さらに両作品が長編アニメーション部門だけでなく、作品賞にもノミネートされるのか、そして受賞するのかが注目となる。ロサンゼルス映画批評家協会賞がそうだったように、作品賞と長編アニメーション賞を両作品が分けあう可能性もあるだろう。『バシールとワルツを』 公式サイト(英語) /http://waltzwithbashir.com/
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