8月9日、広島市のシネツイン本通りにて「Animations 新作上映会+トーク」が開催された。「Animations」は、『頭山』や『カフカ 田舎医者』などで知られる山村浩二氏が主宰するアニメーション制作と批評活動を行うグループである。 2006年、広島市現代美術館で開催した個展「可視幻想 山村浩二アニメーション+原画展」で、「Animations」の活動開始を発表している。 今回の「Animations 新作上映会+トーク」は、これまでの活動の凱旋を兼ねた報告会である。2006年も今回も、広島国際アニメーションフェスティバルの会期中に開催されている。しかし、フェスティバルと連動したイベントでなく、独立した企画である。 また、今回は愛知県・武豊町で開催される「武豊アニメーションフェスティバル(TAFF)」の主催であるPigeonの吉田雅彦氏と共同で進められている。これはTAFFで「Animations」が特集されたつながりある。 まず、各作家の最新作が上映された。上映の後のトークショーでは、主に山村氏が「Animations」を結成した経緯について語った。 山村氏によれば、短編アニメーションの歴史は、1960年にフランスでアヌシー国際アニメーションフェスティバルが開始されたことや久里洋二氏、柳原良平氏、真鍋博氏が「アニメーション3人の会」を結成したことに辿れる。そして、1980年代のフィルム撮影ブームなどについても触れた。 また、2000年以降には、学生作品が増えてきたという。この2000年以降は、パソコンやCGソフトを使用して制作することが普遍化したことや作品の公開方法に違いがあることから、それ以前とは「断絶」があると述べた。 加えて長編アニメーション映画やテレビシリーズとの対比も行った。1963年から『鉄腕アトム』が開始されてから、まるで短編アニメーションの歴史がないかのような扱いになっていたり、長編と短編の分類が大雑把に「商業」と「アート」になっていたりする傾向にあることなどの問題点を挙げた。そのうえで、短編を取り巻く現在の状況に危機感や違和感があるとした。 広島国際アニメーションフェスティバルに限らず、大小様々なイベントや上映会では、2D、3D、人形、実写合成などといった多彩な作品が見られる。 確かに作品がバラエティに富む一方で、その作者や視聴者を含め、今までになく岐路に立たされている印象を受ける。その一端が垣間見える有意義なイベントだった。【真狩祐志】Animations /http://www.animations-cc.net/当サイトの関連記事/アートアニメーションの「Animations」 広島でイベント開催/広島国際アニメ グランプリに「田舎医者」、ヒロシマ賞「つみきのいえ」Animations 新作上映会+トーク 上映作品山村浩二 『頭山』、『Anima Mundi 2008』(新作)荒井知恵 『FRANK'S FEAST』、『DREAMS』(新作)大山慶 『ゆきちゃん』、『放課後』(新作)和田淳 『鼻の日』、『春のしくみ』(新作)中田彩郁 『聞耳・第二幕「鏡」』、『コルネリス』(新作)