日本貿易振興機構(JETRO)は、ルーマニアにおける日本アニメ・マンガ・映画の状況をまとめた「ルーマニアにおけるコンテンツ市場基礎調査」をウェブ上で公開した。 このレポートはJETROが現在進めている世界のコンテンツ関連市場調査の一環となっており、これまでと同様日本のアニメ、マンガ、テレビ番組、映画を分野ごとに取り上げている。関連市場の状況・大きさ、流通構造を明らかにする。 これまでに北米、フランス、中国、韓国、ドイツなど世界の主要市場に加えて、東南アジアや南米など幅広い地域を取り上げている。東ヨーロッパの事情は、「ハンガリーにおけるコンテンツ市場 基礎調査」に続いて2回目である。 今回のルーマニアの市場では、これまでと同様関連市場の各種統計調査やデータベースが少なく、業界関係者から聞き取り調査が中心となっている。また、まとめられた資料からは、これまで調査対象とした国に較べて、日本のコンテンツの普及が遅れていること、関連市場の基盤が未成熟であることがわかる。 しかし、逆に言えば日本のコンテンツの普及初期段階にある市場の典型としてみることも可能である。現在、次第に注目を集めつつある新興国での日本のコンテンツ戦略を考えるうえで参考になるかもしれない。 調査によれば、人口およそ2000万人のルーマニアでは、市場規模の問題からアニメDVD、マンガ出版はほとんど行われず、輸入に頼っている状況だという。このためそれらの商品は、同国の所得水準に較べて比較的高額なエンタテイメントになっている。 アニメについては、熱狂的なファンはインターネットを通じた違法ダウンロードの利用もあるとするが、一般層への広がりはまだないようだ。 こうしたなかで存在感が大きいのは、ソニーピクチャーズが放映するアニメ専門チャンネルのアニマックスと映画・ドラマチャンネルのAXNである。ルーマニアでは、日本アニメの放映はほとんどが両局に集中している。また、日本のエンタテイメントのコンテンツ露出の多さで突出している。 コンテンツの普及における映像のインパクトは大きいだけに、こうしたテレビの影響が今後どの位広がっていくのかが注目となるだろう。日本貿易振興機構(JETRO) /http://www.jetro.go.jp/ルーマニアにおけるコンテンツ市場 基礎調査(2008年3月)/http://www.jetro.go.jp/biz/world/europe/ro/reports/05001560
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