学術誌『唯物論研究』を発行する季報『唯物論研究』刊行会は、今年6月に刊行した第106号の特集で「アニメ批評のエクソダス」を取り上げている。 「アニメ批評のエクソダス」は、「アニメ批評とは何か」という問題意識を世に問うものとして特集した。同誌は現代問題を主に取り上げているが、これまで以上に現代社会の課題に取り組むことを目標とし、今回アニメ批評を取り上げる。 刊行会によれば、現在、アニメ作品は年間200以上製作されているが、宣伝はあるが批評とほとんどなされていない。そして宣伝に成功した作品だけが売れ、良い作品でも一部で話題になるだけで消えて行く状況だという。 こうした現状を打破するため、アニメ批評を始めるための準備として、アニメ批評を問うと今回の特集に意気込みをみせる。 今回の特集では、若い執筆陣を中心に置いた。また、アニメーション演出家の山本寛氏と現代娯楽文化評論家の更科修一郎氏がアニメ言説について検討を行う。 さらに文化研究の清水知子氏や作編曲家の高山博氏など、異分野からアニメ批評を行って貰うことで、新しいアニメ批評のアプローチを行う。特集はアニメ批評という広い枠組みから、音楽、CGアニメーション、萌えなど幅広い分野に及んでいる。 特集の総ページ数は175ページに及ぶというから、アニメ批評だけに絞った出版物としてはこれまでにないボリュームと言えそうだ。 日本のアニメ作品はその多くがエンタテイメント作品である。そのため作品の評価は数字やビジネスの実績で語られることが多い。今回の特集がこうした状況に風穴を開けるのかが注目される。季報『唯物論研究』第106号 特集「アニメ批評のエクソダス」 (責任編集:倉橋克禎+塩沢由典) A5判/240ページ(特集:175ページ) 価格: 1200円(+送料) ISSN 0285-2993【特集目次】・アニメ批評のエクソダスに向けて・アニメ批評家はまだ生まれていない―山本寛インタビュー・ぼくとセカイのはじまるところ/大久保ゆう・アニメ批評宣言に向けて―時間の縮減の弁証法について/倉橋克禎! ・トランス・ジャンル・クリティークに向けて/塩沢由典・! ナチュラリストと〈漫画映画〉の時代 ―動物をめぐるトランスナショナルな想像力/清水知子・消費環境整備としての批評 ―ジャンルの最適化を抑止する批評の不可能性/更科修一郎・僕と君と美しきセカイ―アニメ主題歌批評試論/高山博・現代社会を反映するアニメ ―“00”年代に求められる《自己変革-教育》/山本貴之・レポート:CGアニメーションの現状と将来の可能性/沖本真也・萌えないゴミと萌えるゴミ ―二〇〇七年のアニメ周辺を振り返る/十河にえ・巻末:まっすぐな語りはどこにあるのか――アニメ批評地図【購入方法】■ 店頭販売 模索舎(東京都新宿区)/京都大学生協BOOKSセンタールネ(京都府左京区)■ ネット書店 libroria.net /http://www.libroria.net/ (6月23日より) ※一般向けの販売部数は、1000部を予定。【問い合わせ】 季報『唯物論研究』104号 ネット販売係(大久保) /http://d.hatena.ne.jp/bs221b/20080617
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