『バッカーノ!』は電撃文庫で好評発売中のシリーズ。現在9巻まで続刊中で、累計45万部を売り上げたヒット作である。舞台は1930年代、禁酒法時代のニューヨークからスタートする。
16世紀から不老不死となった錬金術師とカモッラ(マフィア)グループ、それに関わる様々な人間をクールかつコミカルに描く群像劇である。
今回の発表では原作者の成田さん、監督の大森貴弘さん、電撃文庫編集長の鈴木一智さん、アニプレックス常務の植田益朗さんが壇上に上がり、今回のプロジェクトに対する意気込みを語った。
原作は第9回電撃ゲーム小説大賞金賞受賞作である。つまり、成田さんのデビュー作ということになる。応募された作品を鈴木さんが読み、一読して気に入り、賞に推してそのまま初代担当まで務めたほどの作品である。成田さんは自分の好きなギャングもの、錬金術を混ぜたら新しい作品が作れると考え、執筆を始めたという。
ところが、賞の締め切りまで2週間。最初から創作するよりも実在した舞台の方が調べやすいと考えて設定したのだが、調べれば調べるほど資料が必要で、逆に大変だったという。
現在のシリーズは近世にさかのぼり、さらに調べるのが大変になってきているという。そんな成田さんであるが、海外旅行の経験がないとのことで、それが緻密な設定を作るための緊張感になっているという。
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このプロジェクトは数年前にアニプレックスの若手プロデューサーが企画した。「とにかく今までにない企画を」と、植田さんも折れるほどの熱意でプレゼンテーションしていったという。だが、企画を説明する時は皆、要領を得ないという。
その理由には、本作の登場人物は主役級だけでも20名、名前がついたキャラクターを入れると50名近くになるというのがある。それぞれのキャラクターの運命が連鎖的に繋がっているので、話を小出しに区切るのが非常に難しい作品なのである。
既発の商品では1枚1枚違うキャラクターのトランプが作られたことがある。本作のパートナーにはムービックが参加しており、今後も、大勢のキャラクターを生かしたグッズ商品展開が予定されている。
監督の大森さんは一読して「本気でやったら大変なことになる」と思ったという。そのためにはロケハンが絶対必要と考え、忙しいスケジュールをぬって強行日程でニューヨークに飛んだ。
現地では、ビルの外側に付いている非常階段やドアノブのディティールにまでこだわったという。キャスティングは一部が決定していると言うが、まだまだ多くの登場人物について悩みどころであると語った。アニメーション制作は『かみちゅ!』で名を馳せたブレインズベースが行うため、同作のように十分なリアリティを感じさせるアニメーションやレイアウトなど作品に高い期待が寄せられる。
アニメのプロモーション映像を見た成田さんは「アニメのスタッフが自分の原作より面白くする気が満々で、悔しい(笑)マンガなど他のメディアの作品とも競争して、原作者として今後もより一層面白い作品を作っていきたい」と語った。
(日詰明嘉)
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バッカーノ!公式サイト /http://www.baccano.jp/
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《スタッフ》
原作:成田良悟「バッカーノ!」(メディアワークス電撃文庫)
原作イラスト:エナミカツミ
監督:大森貴弘
構成/脚本:高木登
キャラクターデザイン:岸田隆宏
美術:伊藤聖
色彩設計:歌川律子
撮影:関谷能弘
CGプロデューサー:神林憲和
編集:関一彦
音楽:吉森信
音響監督:岩浪美和
アニメーション制作:ブレインズ・ベース
製作:Project Baccano!
(C)Ryohgo Narita・Media Works/Project Baccano!
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