国のコンテンツ産業政策の指針を計画する内閣府知的財産戦略本部コンテンツ専門調査会が、今年9月から中長期のコンテンツ振興戦略を検討する企画ワーキンググループを設置した。 企画ワーキンググループは、今年9月に始まり9月6日に第1回、10月16日に第2回の討議を行った。 10月16日に行われた第2回のワーキンググループの会合では、コンテンツ振興のための論点とコンテンツの海外展開が特に討議された。コンテンツ振興のための論点は、主にコンテンツ産業の現状の再確認による論点の明確化である。 討議の中心は日本経済を牽引できるコンテンツ産業の育成とコンテンツ大国へ目指す方法論である。そしてコンテンツ大国になるシナリオとして、世界に通用する業界を実現する、世界中から人材と資金が集まる世界のコンテンツのハブを目指すという2つのポイントが挙げられている。 ワーキンググループでは、海外展開を行ううえで、日本のコンテンツ産業が高いポテンシャルを持っていることを前提としている。そのうえで、コンテンツ産業の国際競争力を高め、日本の経済成長力にも貢献することを目指している。 また、その際には民間ビジネスが基本であり、官の役割はその側面支援であることが確認された。そのうえで、海外展開の対応策として以下の8点が挙げられている。1) 日本コンテンツの独創性を生かし、海外にも通用するコンテンツを制作する。2) 海外展開を見据えた権利処理を行う。3) 法務能力を高める。4) ハードとソフトの連携。5) 日本のコンテンツの魅力を海外に伝える。6) 日本をクリエーションの拠点とする。7) コンテンツ産業に対する各種情報の提供。8) 国際的な知的財産保護。 このなかでビジネスに関しては、権利処理や契約、訴訟対応など法務面がこれまでよりクローズアップされている。2000年代前半は、ファイナンスに関する課題が多かったので、ビジネスでの課題が、財務から法務に動きつつあることを感じさせる。 また、討議では、そのために業界とエンターテイメント・ロイヤーズ・ネットワークとの連携を提案している。 コンテンツ自体については、クリエティビティの発揮出来る環境と日本コンテンツの魅力のアピールに重きが置かれている。そのなかで昨今大きな話題を呼んでいる「国際コンテンツカーニバル」の設立や外務省のアニメ文化大使事業構想、日本マンガ大賞の創設、コンテンツの海外発展貢献者の表彰制度、海外でのアニメーター共通テストの導入などに触れている。 要は日本がコンテンツ産業におけるアジアのハブとなり、人と情報とビジネスが集中することを目指したものである。 世界のなかでコンテンツ産業のハブを目指すことは、一見壮大な夢のようにも映る。しかし、アニメやゲーム、マンガといった分野では、すでに日本がハブの一部を担っているのは間違いない。 今回のワーキンググループの討論はそうした現状をさらに強化し、関連業界や日本産業にさらに利益をもたらす方法を探るものだと言えるだろう。 ワーキンググループは11月に第3回を開催、12月の第4回開催で全体のとりまとめが行われる。また2月にはコンテンツ専門調査会の全体会合も開催される。/内閣府知的財産戦略本部 /コンテンツ専門調査会