
実際には日産が開発したコンセプトカー2台が、作品の中の重要な役割を持った車として登場するというものである。実在の車がアニメの中で活躍する、これまでにない試みである。
また、伝統的な自動車産業と近年急激に注目されているアニメ産業のコラボレーションと話題性も十分である。
発表会には本作品の神山健治監督、プロダクションI.Gの石川光久社長、日産自動車のプロダクトチーフデザイナー中島敬氏も登場し、I.G×日産のコラボレーションがいかにクリエイティブなものであったかを語った。

さらに石川社長はI.Gと日産の出会いが、あるパーティーで唯一お金の匂いがしない人と話したらそれが日産の人だった、それが今回のコレボレーションの始まりと説明した。
また中島氏は今回の企画の実現は、自分も含めた多くの開発チームのメンバーが『攻殻機動隊』のファンであったことを理由に挙げた。そして、今回の試みが国内だけでなく、世界中の日産自動車開発チームの注目を浴びているという。
今回、『攻殻機動隊S.A.C』のなかに登場した未来的なデザインの車「スポーツコンセプト」が、実際に街中に登場する可能性はあるのだろうか?
イベント進行役の濱野保樹東京大学大学院教授の質問「攻殻には熱心なファンが多いのですが、売って欲しいと言われたらどうしますか」に、中島氏は「コンセプトカーは、社内のモチベーションの向上やデザイン可能性の発露のため」と答えた。
実際にこの車が店頭に並べられて販売される可能性は少なそうである。

また、最後に印象的だったのは、銀座通りに面した日産ギャラリーに掲げられた『攻殻機動隊』の巨大なイメージに足を止めて見入る人の数の多さであった。さすが銀座、さすが『攻殻機動隊』ふたつのブランド力の強さにあらためて認識した場面であった。
(c)士郎正宗・Production I.G/講談社・攻殻機動隊製作委員会