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Vizは『犬夜叉』をなどマンガの権利は持っていても、アニメの権利を持っていない作品も結構多いからだ。
そのなか、パネルで積極的に推されたのは、種村有菜原作のアニメ『満月をさがして』であった。さらに、同社が今年から販売するアニメDVDレーベル「shyonen jump」のDVDである。このレーベルからは、『NARUTO』、『ヒカルの碁』、『ワンピース』の発売が予定されている。
注目されたのは、そのDVDの価格設定である。1巻19.98ドルは、これまでの日本アニメの通常価格29.98ドルや24.98ドルより明らかに安く、人気作品の初版が20ドルを切るのは驚きの価格である。
ターゲットとする顧客はアニメマニアでなく、販売価格にも厳しい判断を下すもっと幅広い大衆層であると考えられる。安価大量販売を目指していると考えてよいだろう。
こうした大衆志向は、今回の同社の宣伝・広告にも現れている。ニューヨークコミコンの正面入り口のトップ、参加者全員に配られるビニールかばん側面の全ての広告をVizは買取り、広告で埋めてしまっていたからだ。
本来1万人のキャパシティしかない同イベントに、土曜日だけで2万人のニューヨーカーが押しかけたという。
この全てが必ずVizの名前を目にしたことになる。前回、筆者が参加したアメリカのイベントの2005年アニメエキスポでもほぼ同様な勢いだった。Vizの名前は今や急激に全米のサブカルチャーファンの間に広がりつつあるといえるだろう。
しかし、こうした派手な宣伝が必ずしも利益になっているかは判らない。今回も巨額の費用をかけたと思われる企業ブースでは、宣伝だけで物販は行われていない。
確かに、同社の『NARUTO』や『犬夜叉』のマンガや関連商品はよく売れているが、ここ1年にかかった膨大な経費を賄えているのかは疑問の残るところである。
それでも、こうして得た高い知名度とマーケットシェアは、長い目で見れば間違いなく同社の利益として戻って行くに違いない。そして、それが報われるまで、この宣伝攻勢は続くのだろう。
/Vizメディア
/ニューヨークコミコン