イギリスの有力紙オブザーバーが、イギリス国内で評価の高まるグラフィックノベルとその存在感の高まりについて特集を組んでいる。また、記事の中では日本のマンガの人気にも触れており、オブザーバーのお薦めグラフィックノベル(マンガ)のひとつとして手塚治虫の『ブッダ』を挙げている。 この記事はイギリス国内で長い伝統と格式を誇る王立文芸協会が、今年2人のグラフィックノベルの作家ポジー・シモンドとレイモンド・ブリッグの両氏を新規のメンバーに加えたことに関連したものである。両氏は、イギリスのおけるグラフィクノベルの重鎮として知られている。これまで王立文芸協会の会員は、小説家、詩人、脚本家に限られていたので、時代の大きな変化として注目されている。 こうした変化は、これまで子供のためのものと考えられていたグラフィックノベルが、もっと深いテーマを扱ったものと考えられるようになったためであるという。また、経済的な面での存在感が増していることも無視出来ない。 オブザーバーによれば、イギリスにおいてもグラフィックノベルは出版界の中では成長の高い分野であるという。昨年だけでグラフィックノベルとマンガの売上高は58%増加している。特に日本のマンガは過去18ヶ月に亘り人気拡大を続けており、書店チェーンのウォーターストーンでは、この秋に全ての店舗に175作品のマンガタイトルを並べるように決めている。 また、オブザーバー誌はグラフィックノベルのベスト3として、パトライス・キロファーの『Six Hundred and Seventy-Six Apparitions』、チャールズ・バーンズの『Black Hole』と並んで、手塚治虫の『ブッダ』を挙げている。 これまでも度々述べてきたが、イギリスはヨーロッパの中でも日本のアニメ・マンガコンテンツが比較的弱い国である。同じヨーロッパでも、フランスやイタリアといった国は割合早くから日本のマンガ出版が盛んであった。また、マンガから離れてもフランスではバンドデシネに代表されるコミック文化が発達していたが、こうしたものもさほどイギリスの文化に影響を与えたようには見えない。 今回のイギリスにおけるグラフィックノベルの評価の高まりは、海の向こうの米国でのグラフィックノベル(とマンガ)の盛り上がりに影響された部分が強いようだ。イギリスにも、米国経由をして周回遅れでマンガ文化が広がる気配である。オブザーバーの記事 /Strip lit is joining the literary elite
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