『東京国際映画祭シンポジウム』報告 | アニメ!アニメ!

『東京国際映画祭シンポジウム』報告

 9月14日、東京国際映画祭のプレイベントとして『映像コンテンツのグローバル戦略』と題された東京国際映画祭シンポジウムが日経ホールにて開催された。
 基調講演を東京国際映画祭ゼネラルプロデュサーの角川歴彦氏が行った。また、パネルデスカッツションでは、日経

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 9月14日、東京国際映画祭のプレイベントとして『映像コンテンツのグローバル戦略』と題された東京国際映画祭シンポジウムが日経ホールにて開催された。
 基調講演を東京国際映画祭ゼネラルプロデュサーの角川歴彦氏が行った。また、パネルデスカッツションでは、日経エンタテイメント発行人品田英雄氏の司会により亀山千広氏(フジテレビ映画事業局局長)、浜野保樹氏(東京大学教授)、広実郁郎氏(経済産業省商務情報局文化情報関連産業課長)、山崎文雄氏(ローソン商品・物流本部本部長補佐)と制作側、教育、行政、企業と異なる視点から現在の映像コンテンツ産業について討議を行った。

 角川氏の講演は日本の映像ビジネスの歴史とアジア市場の重要性が中心で、数年前までは、アジア諸国はビジネス環境すらままならなかったのが現在は大きく環境が変わりつつあると述べた。そのうえでアジアの胎動を語り、東京国際映画祭に対する意気込みをみせた。
 また、討論は日本の映像産業の現状について興味深い話が幾つも出た来た。特に、日本の映像ビジネスについては、まだまだ、開拓の余地が大きいとの発言が多かった。GNP比でみた日本のコンテンツ産業の生産額が他国について少ないことや、シネコンの増設余地がまだあるのでないかといった点である。観客を増やすためには、観客を家庭での視聴から劇場に呼ぶ必要性、そのためには継続的なヒット作が効果的である、また現在の観客だけでない多くの人に映画をアピールすべきだとの意見があった。
 全体的な話は映像ビジネス全体が中心で、アニメについて個別に言及されることは少なかったが幾つか興味深い発言があった。浜野氏から日本のコンテンツ人材育成の遅れについて話があり、同時に先日試験が行われたばかりのコンテンツ創造科学産学連携教育プログラムの現状についても説明があった。先の試験では定員の40人を大きく上回る100人以上の応募があったが、プロデュサーの育成や異なった産業からの視点を考え敢えてクリエーターを合格者から除いたとのことである。
 また、当プログラムについては思った以上に大学側からの支援があり学部への昇格が正式に了承されたので、早ければ来年:2005年の9月には学部への格上げが行われ、遅くとも2006年には実現するという。
 人材育成については、広実氏からも東大の動きに加えて、東京藝術大学が現在2004年4月に新学部映像学科を横浜に設立するため申請中であるとの話があった。そして、両大学の動きに刺激されて他にも複数の大学がコンテンツ関係の学科の創設を検討しているとあった。具体的な大学として、早稲田大学、慶応大学、明治大学の名前が言及された。

 また、アニメに関連する話では、この春にアニメ制作会社ゴンゾ・デジメーション・ホールディングス(GDH)に出資を行ったフジテレビの亀山氏よりその提携についての説明があった。海外、特に北米マーケットは、世界市場の中では巨大なマーケットなので魅力がある。しかし、日本人の演じる実写映像を売り出すには現実問題として難しいものがあるので、そのためにアニは海外進出のいい手段でると考えていると述べた。さらに、「フジテレビはアニメの分野では出遅れていたので、日本国内で以上に海外での評価が高いGDHをパートナーとして選んだ。制作への出資でなく、株主への投資を行ったのは、単発のビジネスでなく長期に渡ってビジネスを積み重ねて行く中で実績を築くためである。株主となることで一緒にリスクを負うことである。」と説明した。
 具体的な作品として宮部みゆき氏原作の『ブレイブ・ストーリー』の映画化の話をあげた。米国でヒットする映画を研究した結果、ストーリーが優れたことに加えて家族愛がテーマになっているこの作品を選び、現在、2006年ブエナビスタ系での全米公開を目指しているとのことである。

/東京国際映画祭 
/日本経済新聞 
/日経エンタテイメント 
/東京大学大学院 情報学環 
/経済産業省 
/ローソン 
/GDH 
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