アニメやゲームの主題歌、テーマソングなどを歌うアーティストに楽曲について語ってもらう雑誌「メガミマガジン」のインタビュー企画「Megami’sVoice」。2025年4月号には、『日本へようこそエルフさん。』のOP『Palette Days』をリリースした佐々木李子が登場。
冒険心が詰まったワクワク&爽やかな1曲
――テレビアニメ『日本へようこそエルフさん。』のOP主題歌である「Palette Days」を、最初に聞いたときの印象を教えてください。
とにかく温かく優しい雰囲気の曲で、新しいことにチャレンジしたくなるようなワクワク感もあわせ持っているなと感じました。新しいことへの挑戦はパワーがいりますが、この曲は自然と冒険心を湧き上がらせてくれるんです。私自身、この曲と出会ってから、油絵やひとり旅、料理教室など、いろいろなことに挑戦したほどです。また、『日本へようこそエルフさん。』という異世界と日本を行き来する作品の主題歌なので、旅をしているような雰囲気も感じました。
――歌詞からは、作品のヒロイン・マリーの好奇心旺盛さも伝わってきます。
マリーちゃんが日本料理を初めて食べて感動している姿が浮かんできますよね。マリーちゃん自身、おっしゃるとおり好奇心が旺盛で、素敵なものを見つける達人なので、それがサビの歌詞ではとくに素敵に表現されていると思います。また、全体的に想像力が膨らむ歌詞だとも感じているんです。綺麗な風景が自然と思い浮かぶようなフレーズがたくさん使われていますし、思わず一歩踏み出したくなるような、冒険感があるところも好きです。
――歌うときには、どんなことを大切にしましたか?
山々が見えるような景色を思い浮かべたり、壮大な海を想像したりしつつ、自分が新しいチャレンジをしたときのワクワクも詰め込んで歌いました。考えて歌うというよりも、自分のなかにある素敵な思い出を並べるような気持ちでした。歌っていて清々しい気持ちになりましたし、ファンの方にも「知らないものがあっても怖がらなくていいんだよ」という気持ちを届けるような気持ちでした。
――アーティスト盤のBlu-rayには、「Palette Days」のミュージックビデオも収録されていますが、撮影の思い出は?
昨年の秋に撮影したのですが、広大な牧場がメインの撮影場所だったので、寒かったです(笑)。でも、すごく風景が綺麗で、自然を楽しんでいたら撮影が終わっていたんです。それから、電車のなかでの撮影があったのですが、途中に何回もトンネルがあるので、スタッフの方が時間を計算してくださり、トンネルを出るたびに撮影をしていたんですね。ほぼ一発撮りになったので、スリルを感じつつ、スタッフの方たちとの絆もよりいっそう強くなったなと感じています。
――同じくBlu-rayに収録される「Sasaki Rico presents“エルフさんおもてなしプラン”」はどんな映像ですか?
マリーちゃんが日本にやってきたとき、私だったらどうおもてなしするかを、大きなキャンバスに一発描きする映像を撮っていただきました。例えば、朝は私が作ったパンを食べたりる、私の好きな場所に行ったり、浴衣を着たりなど、かなり盛りだくさんな内容にしてしまったのですが、がんばって描いたのでぜひ見てほしいです。
――「Palette Days」の佐々木さん的な推しポイントを教えてください。
1番のBメロや2番のAメロに、行進したくなる、弾むようなパートがあるのですが、聞いていると思わず歩きたくなるんです。自分でも1回聞きながら散歩をしてみたら、2時間近く歩けていたので、ぜひ聞きながら旅をしてもらえたらと思います。
――佐々木さんは『日本へようこそエルフさん。』にミュイ役で出演していますが、ミュイはどんなキャラクターですか?
猫族の子供で、けなげで優しく、表情豊かです。マリーにもふもふされては、くすぐったがりながらうれしそうな表情をするんです。また、物語を動かすような不思議な力を持っていることもあり、最初は警戒心が強かったんですね。でも、マリーたちと出会って少しずつ心がほぐれていくので、そのグラデーションは大切に演じたいと思いました。

――カップリング曲についても教えてください。「Daydreamin’」は、曲選びにも参加したそうですね。
自然と動き出したくなるような、ライブで歌える曲を作りたくて、曲選びにも参加させていただきました。「Daydreamin’」は、ライブのためにがんばる気持ちや、お客さんと会場で会えたときの喜びを歌っていて、すごく共感できる曲なんです。レコーディングもノリノリで、迷いや悩みもなくまっすぐに楽しく歌えました。サビに掛け声が入るのですが、スタッフの皆さんにも協力していただいたので、ぜひ聞いてみてください。
――もう1曲のカップリング曲「君と僕の星」は、作詞を佐々木さんが、作曲を佐々木さんと佐藤厚仁さんが共作で手がけた楽曲ですね。
カップリングを2曲収録することになって、「もう1曲は自由に作ってみませんか?」とお声がけいただいたんです。まず、自分が歌いたいことが何かを考え、「別れたあとも一緒に過ごした思い出を忘れず、いつかまた見つけてもらえるようにスターになる」という気持ちや、「さびしさや悲しみをパワーにがんばっていく」という思いを込めました。曲はまず私が自由に作って佐藤さんにお渡しし、ブラッシュアップをしていただきました。曲をよりよいものにしたいという思いが伝わってきて、すごくうれしかったです。また、サビ部分には流れ星の雰囲気を表現してくださり、トラックダウンのときは思わず泣いてしまうほどでした。歌詞に関しては、大切な誰かに向けて歌っているので、あえて直接的すぎるワードは使わず、少し曖昧にしてみたり、悲しくなりすぎないよう、明るさも織り交ぜて作っていきました。
――歌詞が完成して、何か発見したことはありましたか?
前作の「Windshifter」を制作したあと、自分としてはポジティブな性格になった感覚があったんです。でも、「君と僕の星」には、ちょっと後ろ向きなワードもあるんですね。かつては自信がなく落ち込むことも多かったのですが、そういう過去があるから、いまの自分がある。そんな思いがしっかり表現できているなと感じました。また、自分を支えてくれる存在に向けて作った曲なので、聞いてくださった皆さんが大切な存在を思い出すきっかけになったらうれしいです。
――ふだん、曲はどのように制作していますか?
家にある小さなキーボードを自由に弾いて鼻歌を歌ってみることもありますし、歌詞から作ることもあります。「君と僕の星」に関しては、ぽつりぽつりと思いがあふれていく感じにしたくて、ピアノで作り始めました。まずメロディをワンコーラス作り、その後フルを作ってから歌詞を入れました。ただ、言葉を詰め込んでしまったので、息継ぎが難しいところがあって、そこだけは歌うのが大変でした(笑)。
――完成してみて、どんな1枚になったと感じていますか?
3曲とも、これまでの私の雰囲気とはまた違ったカラフルさがあると思います。「Palette Days」は温かく、「Daydreamin'」はキラキラとしていて、「君と僕の星」は淡い色合いが感じられる。色とりどりの、まさに私だけの色を入れたパレットのような1枚になりました。
――ジャケットやアーティスト写真撮影の思い出は?
スタジオにリンゴやお花、筆などの小道具がたくさん用意されていて、そのときのインスピレーションで自由にポーズを決めていったことです。すごく楽しい撮影でしたね。また、アニメ盤はマリーちゃんとミュイちゃんと、私がイラストで描かれているんですね。一緒に旅をしている感じで、私もカズヒホのようにマリーちゃんと出会えた気持ちになれてうれしいです。
――5月には、待望のワンマンライブも開催されるそうですね。どんなライブにしたいか、いまの意気込みも含めてメッセージをお願いします。
ワンマンライブはかなり久しぶりになりますし、ライブで歌いたい曲もたくさんあるんです。楽しさをみんなで共有できるようなライブにしますので、直接会いに来てくださったらうれしいです。それまでは、皆さんの日々を彩れるような、このCDの3曲をたくさん聞いて待っていてください。

Profile
ささき・りこ/11月10日生まれ。秋田県出身。2008年にミュージカル『アニー』の主役を勝ち取り、以後、女優・歌手・声優として活動。
2024年5月には、テレビアニメ『リンカイ!』のOP主題歌「Windshifter」を収録したシングルをリリース。声優としての主な出演作は、『BanG Dream! Ave Mujica』三角初華/ドロリス役など。
Information
「Palette Days」
発売中
バンダイナムコミュージックライブ
表題曲はテレビアニメ『日本へようこそエルフさん。』のOP主題歌で、爽やかさとカラフルさを感じさせるハートフルなナンバー。カップリング曲として、「Daydreamin’」と「君と僕の星」を収録。アーティスト盤には、表題曲のMVやメイキング映像、Sasaki Rico presents“エルフさんおもてなしプラン”を収録したBlu-rayを同梱。
アーティスト盤3300円(税込)
アニメ盤1650円(税込)
(C)まきしま鈴木・ホビージャパン/「日本へようこそエルフさん。」製作委員会