■演技力はどうやって高めていく?
坂東:演技力を上げるのに役立ったことなどがあれば教えていただきたいです。
倉持:やっぱり年齢とともにできることが増えている気がします。日々の経験とか、それこそ友達や家族と過ごしたり、お仕事したりで自然と身についたことがあるのかなって思います。養成所に通っていたときは、アニメのセリフを全部覚えて何度も繰り返していました。
日岡:わかる。私はノートにセリフを書きだして練習してました。
松倉:アニメのセリフを、シチュエーションを変えてみて自分なりの芝居のプランを立てて練習するといいかもしれない。さらに、それを録音して聞き直すといい。
日岡:自分の芝居を聞き直すのは大事ですね。聞き直すときに大事なことは2つあると思います。キャラクターや作品への理解という面と、松倉さんがおっしゃったような、自分の色をそこに乗せられるか、この2つが上手い方が売れていくんだと思います。
作品やキャラクターの解釈力は、やっぱり映画などで物語にたくさん触れることで高まっていくんじゃないかな。その上で自分の個性を出すのは、人生経験や自分の人間性とかになってくると思うので。やっぱりお芝居する人は楽しそうに人生送ってる人が多いですね、人間力を高めることも大事だと思います。

松倉:最後は人間としての個性だからね。若いうちはいろいろな種類のアルバイトしたり、いろいろな人を話して、たくさん映画観たり、自分に刺激を入れていくことが頑張ったほうがいい。
松村:声優になってから職業病みたいなものはありますか。
日岡:アニメを普通に見られない(笑)。
倉持:わかります。「これ、落ちたやつだ」って思ったり(笑)。オーディション落ちた作品は見づらいですよね。でも、そういう作品のクレジットは絶対チェックしてます。
■自分に合う役柄の見つけ方

馬飼野:自分に合っている役柄をどうやって発見されたんですか?
日岡:最初は自分ではわからないので、オーディションに受かったキャラになっていくと思います。自分に需要あるのがそこでわかるので。でも、それに固執しすぎるのもよくないですね。
松倉:ちょっと脇道にそれるかもしれないけど、例えば日岡さんがオーディション受けるとき、大概かわいい女の子役にいくじゃない? でもそこにはライバルがめちゃくちゃいるわけで、そういうときにちょっと年上の悪いキャラを狙っていこうとか、そういうのもアリだと思う。日岡さんは悪役もいいと思うんだよね。
例えば、声の低い女性声優は、すぐ少年役を狙いにいくけど、少年役できる人はいっぱいいるわけです。だから、あえて年上のお姉さんを狙ったりとかね。そうなると、自分のパターンも増えていくし。
日岡:新人の頃にオーディションに受かりやすかったタイプの役が、なかなか受からなくなってくる時期がやっぱりあるんですよね。幅を広げていかないと役を取っていくのは難しくなっていくのを、身に染みて感じています。そのあたりはマネージャーさんと相談して、いつもと違う役柄に挑ませてもらったりとかしています。
倉持:私は自分でお姉さん的な役が得意だと思っていたんです。養成所のときですよ(笑)! だからお姉さんタイプのオーディションを受けようとしていたら、事務所の社長に「全然違うと思うよ」と言われ(笑)。
松倉:オーディションに関係なく、出会ったときから倉持くんはおバカな役が合うと思ってたよ(笑)。

倉持:実際、ツンデレとかおバカキャラで受かるようになったので、誰かの助言ってすごく大切ですね。社長の助言や松倉さんに出会ってなかったら、今でもずっとオーディション受かってないだろうなと思います。
日岡:倉持さん、ご本人は賢そうだし、おバカなキャラのイメージではないですけど、お芝居するとハマるんですね。
■自分にキャラを引き寄せるぐらいの気持ちを持って
――今日はオーディションで声優を選ぶ立場の松倉さんもいらっしゃるので、選ぶ側の話も聞きたいですね。
日岡:そうですね、オーディションで何を重視しているのか気になります。
松倉:自分がよく言うのは、個性です。結局芝居に絶対の正解はないんですよね。オーディションやると、たくさん芝居を聞くことになるわけですけど、この人は面白い組み立て方したなとか、何か突出したものがあるかを重視しています。キャラクターに合わせるより、キャラクターを自分に引き寄せるぐらいの気持ちでやってほしい。倉持くんも、最終的には自分にキャラクターを引き寄せたなって思うし。
倉持:じゃあ、原作もののときでも、状況把握のために読んだほうがいいけど、“こういう表情”だから“こういうお芝居”と意識しすぎないほうがいいですか。
松倉:そうですね。与えられた原稿の中で、自分なりに組み立てて持ってきてもらえればいいです。オーディションのときに、原作はそういうシチュエーションじゃないんですよとか指示する人がいるんだけど、自分はそういうことはしません。オーディションでは、芝居の幅とかどんな声が出せるのかとか、そういうのを見たいので。
松村:今まで、原作の絵を見ながら考えていました。
松倉:そうすると、ひとつのパターンの芝居しか出てこないですよね。
日岡:しかも、オーディションで皆同じパターンで芝居してくることになるわけですよね。
松倉:そうなんです。どんなにいい芝居しても、皆同じなら人気ある人にしましょうとなってしまうんです。それだと若手のみなさんにチャンスが回ってこない。こちらも、何かおもしろいものを持ってきた人にお願いしたいと思っているので、ガンガンそういうチャレンジをしてください。
――貴重なお話をありがとうございました。
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■応募期間
2025年1月1日(水)~1月31日(金)
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中学1年生~30歳くらいまでの男女
■オーディション日程
仙台・大阪:2025年 2月8日(土)
福岡:2025年 2月9日(日)
東京2025年 2月15日(土)・16日(日)
詳細につきましては、公式ホームページや公式Xをご覧ください。