近年、日本発祥のロリータ・ファッションが中国で流行し、日本に“逆輸入”されて従来の愛好家に留まらず、コスプレイヤーやポートレートモデルといった新規購入層が増えるムーブメントを生み出しているのをご存知でしょうか。
ロリータ服のフリルやレース、リボンをふんだんにあしらった中世貴族のようなドレス風ワンピースは、「お姫様」を連想させます。
当初は多くの女性に支持されましたが、見た目の派手さや値段の高さもあって勢いは落ち、現在ではロリータ愛好家と言われる一部の人たちがメインの購買層です。
一方の中国では2015年頃から『カードキャプターさくら』や『ローゼンメイデン』などの日本アニメをきっかけにロリータ服がじわりじわりと広がり、中国独自のブランドが数多く登場。日本ブランドと比較して半分以下という価格の安さだけでなく、解釈の自由度の高さから生まれた多様性が若い女性層に受け入れられました。品質の安定度も年々増しており、日本ブランドの高価格帯アイテムを除けば、遜色はありません。
とくに新型コロナウイルス感染症が流行する前の2019年は、毎週のように新しい中国ロリータ服ブランドが誕生していましたし、中国市場に目をつけた日本ブランド「BABY, THE STARS SHINE BRIGHT」やロリータ・ファッションマガジン「KERA」が進出するようになりました。
中国では日本以上にロリータ服とアニメ・ゲームの親和性が高くなったため、年2回上海で開催される中国最大級の動漫イベント“中国版コミックマーケット”「Comicup」には、毎回多くのロリータ・ファッションブランドが出展します。そんな中国ロリータを2019年から取材・撮影を続ける写真家・乃木章氏がいます。
日本初!? の中国ロリータ服写真展が開催
2022年11月12日と13日の2日間、東京・新宿マルイ本館で、中国ロリータ・ファッションを題材にした乃木氏の初写真展が開催され、100人以上が訪れました。乃木氏は中国ロリータ服専門のカメラマンとして活躍しており、中国ロリータブランドやモデルの取材、さらには日本展開をしている中国ブランドの依頼を受けて日本のモデルを起用した宣材写真撮影などを担当。2021年は100着以上の中国ロリータ服を撮影しました。
今回の個展では、人気コスプレイヤー・しょこらさんや人気ポートレートモデル・緩苺（ゆるめ）さんなどで撮り下ろした中国ロリータ服写真の、中国ロリータ服を扱う日本のセレクトショップ「Epetice」の衣装を展示販売、日替わりでモデルさんが来場してのチェキ撮影会などのイベントも実施されました。
「中国ロリータ服の特徴はデザインの多様性です。なので、コスプレイヤーやポートレートモデル、アイドルなどタイプが異なるモデルさんで撮らせて頂きました」（乃木氏）
展示作品は中華、和、欧風など様々なテイストの洋服を用意し、起用したモデルのタイプはもちろん、チェスやハンバーガー、彼岸花など洋服に合わせたロケーションも全て異なるのが印象的でした。
「日本のアパレルの宣材写真ですと、全身のコーデが分かるスナップ風写真が定番です。ただし、中国では絵画のように物語性を演出した写真が使われています。私の撮影手法も中国に倣っています」（乃木氏）
また、今回は中国ロリータ服をより多くの人に知ってもらうための個展でもありましたが、中国ロリータ服の写真集を商業出版するのが次の目標だと明かしています。
最後に個展で展示された写真の一部をフォトレポートでお届けします。
撮影：乃木章（@Osefly）
モデル：しょこら（@Chocolat_cos0）、緩苺（@1004yrm_）、茉白すふれ（@ros_rin1017）、劉甜（@Ten__050628）
衣装提供：Epetice（@epetice）
