『ららマジ』ノベライズ版サントラ新曲群をいとうけいすけ氏が解説―フロウライン編の楽曲は如何にして作られたか【インタビュー】 2ページ目 | アニメ!アニメ!

『ららマジ』ノベライズ版サントラ新曲群をいとうけいすけ氏が解説―フロウライン編の楽曲は如何にして作られたか【インタビュー】

『ららマジ』小説版サントラに収録された新曲群を【ネタバレあり】で語っていただきました。小説未読の方はご注意を。

インタビュー
注目記事
『ららマジ』ノベライズ版サントラ新曲群をいとうけいすけ氏が解説―フロウライン編の楽曲は如何にして作られたか【インタビュー】
  • 『ららマジ』ノベライズ版サントラ新曲群をいとうけいすけ氏が解説―フロウライン編の楽曲は如何にして作られたか【インタビュー】
  • 『ららマジ』ノベライズ版サントラ新曲群をいとうけいすけ氏が解説―フロウライン編の楽曲は如何にして作られたか【インタビュー】
  • 『ららマジ』ノベライズ版サントラ新曲群をいとうけいすけ氏が解説―フロウライン編の楽曲は如何にして作られたか【インタビュー】
  • 『ららマジ』ノベライズ版サントラ新曲群をいとうけいすけ氏が解説―フロウライン編の楽曲は如何にして作られたか【インタビュー】
  • 『ららマジ』ノベライズ版サントラ新曲群をいとうけいすけ氏が解説―フロウライン編の楽曲は如何にして作られたか【インタビュー】
  • 『ららマジ』ノベライズ版サントラ新曲群をいとうけいすけ氏が解説―フロウライン編の楽曲は如何にして作られたか【インタビュー】
  • 『ららマジ』ノベライズ版サントラ新曲群をいとうけいすけ氏が解説―フロウライン編の楽曲は如何にして作られたか【インタビュー】
  • 『ららマジ』ノベライズ版サントラ新曲群をいとうけいすけ氏が解説―フロウライン編の楽曲は如何にして作られたか【インタビュー】


◆部員テーマ以外のメインシナリオでの楽曲について


――では、部員のテーマ以外の楽曲についてもお聞きできればと思います。まずは智美の「ケジメバトル」について。

いとうヤンキーたちのロックンロール」というのはキャラテーマのときと同じく、古くなりすぎないように、ブラスや裏打ちのギターを入れてスカっぽく聞こえるようにしています。明るく元気な趣の強いロックンロール風の戦闘曲、というイメージですかね。この曲に関しては、ベースをフィーチャーしようといった意識はあまりなかったと思います。

――麻衣先輩の「弾んで弾けて」も明るい曲調ですが、こちらは爽やかなスポーティーさを感じますね。

いとう前回ヤンキーものをやったと思ったら今度はスポーツものって、本当に振れ幅が大きいですよね(笑)。これに関してはおまかせという感じでしたので、バスケの試合中をイメージした明るく元気で、かつドラムに大暴れしてもらおうと、ドラムのパートをしっかりと作ってあります。ドラムのパートをよく聴いてみると、ゴーストノート(※)が細かく入っています。これもドラムの上に弱めのメロディを乗せて、劇伴っぽい作り方をしていますね。
(※ゴーストノート:音符と音符の間にさりげなく入れる、聴こえるか聴こえないかくらいの小さな音)


――スピード感のあるスポーツをイメージさせる曲でした。バスケにぴったりだと思います。そこからガラッと変わって雪菜編での「調律の冒険」。これは個人的にはすごく聴き慣れた感覚がありました。

いとうこれはもう「某大作RPG」のオマージュですよね。シナリオ自体も完全にそうですし(笑)。こちらはキャラテーマと違ってクラシカルな感じにしていますが。確か、シナリオ側から結構具体的なオーダーがありましたよね。

蟹江「某大作RPG」っぽい曲をお願いしますと(笑)。メインテーマかフィールド曲か、どちらにしましょうみたいなことも話してましたね。

いとうそれで、フィールド曲も、あれがいいこれがいいみたいな話をしてましたね。オマージュ元が共通言語みたいになっていたので大分スムーズに作れました。

――雪菜先輩の話、これゲーム内で実装されてたらどういう演出になっていたのか非常に気になりますよね。

蟹江シナリオ側からの第1希望は全部ドット絵での表現でした。それが難しければ、「棺桶のLive2D」を作って、他の子の立ち絵もコスプレ衣装。さらにセリフも、夢世界の登場人物のセリフは全部ひらがなで「ポポポポポ……」とSEが付く感じに出来たら良いねと話してました。

いとうそれは見たかった!あの回復魔法「ヤサシミ」も良かったですよね。あれ大好きです(笑)。

蟹江「ヤサシミ」は西村さんセンスですね(笑)。

――「気高い瞳」も新曲ですね。小説ではAct.2の冒頭、グリムゲルデの登場シーンで流れていました。

いとう改めてご説明しますと、今回の新曲は蟹江さんからリクエストを受けて作った曲と、私から「こういうのはどうだろう」とアイディアを出し、ご了承をいただいて作った曲の2種類に分かれます。この「気高い瞳」は後者ですね。

グリムゲルデという正体不明の人物のフォロー用に、静かな音楽を1曲用意したいなという思いで作っていて、サントラではDisc2に収録されている「閃光と共に」という曲のフレーズを使って、神秘的な音楽に仕上げています。今回、私からアイディアを出して作った曲に関してはこのような「匂わせ」があったりします。


――ということは、これでグリムゲルデモチーフの楽曲は2曲になるんですね。次の「世界を押し流す毒蛇」は、ディエス・イレ戦の「怒りの日」や「解放戦・BOSS」のような趣がありますね。

いとうそうですね。ディエス・イレや解放戦、亜里砂編のジャバウォックなど、節目節目の巨大なボスに立ち向かう時にはこういった曲を作りたくなりますね。小説だと少しうるさいかもしれませんが、シンプルにゲームで流れるようなアツい戦闘曲をということで作っています。

本当であれば、解放戦のような神々しいコーラスを入れても良かったんですが、せっかくのフロウライン編ラストです。オーケストラを乗せつつ、バンド編成でリズムも押さえて、メロディはシンセサイザーとギターで取っていこうと。結構アツい曲になったんじゃないかなと思います。仮にゲームであっても盛り上がったんじゃないでしょうか。

――見たかったですね、ヨルムンガンド戦。

蟹江ヨルムンガンドもしっかりゲームでやる前提で考えられているんですよね。アクションパートではヨルムンガンドの背中がステージになっていて、それをノイズと戦いながら駆け上がって行き、最後に巨大な頭部が出てきてボス戦……というのが予定されていました。残念ながらそれは叶いませんでしたが、このシーンをサントラから曲を流しつつ、アクションパートを思い浮かべながら読んでいただけると、イメージしていただけるのかなと思います。

いとう見たかった!調律済みの部員が全員集合で戦うのも初めてでしたよね。そう考えると中々アツい場面ですよね。

蟹江全員集合バトルもゲームとしてどう落とし込むかのアイディア出しがされていたんですよね。フロウライン編の最後でヨルムンガンドが出てくるのはシナリオ上決まっていたので、実は早い段階から大ボスバトル演出が計画されていました。

――本当に見たかった……!では次の「演奏しましょう、一緒に。」は、一応新曲ということになるのでしょうか?

いとう実は『ららマジ』がサービスを終えるのが悲しかったので、衝動的に作ってTwitterで公開するという「本当はやってはいけないこと」をやってしまったときの曲ですね(笑)。今回のサントラについていろいろお話をさせていただく中で、せっかくなので収録しましょうという運びになりました。

蟹江むしろありがとうございました(笑)。

いとう恐縮です……!

それで、この曲なのですが、先ほど菜々美や紗彩のテーマって暗かったりするという話がありましたね。それを明るくしたくて。菜々美のテーマで始まるんですが、途中から紗彩のテーマが出てきて、ふたりが一緒にいる感じにしたいなと思って作っています。

結構気に入っているのですが、どうしてもサービス終了の日を思い出してしまいますね。個人的には切ない曲ですね。

蟹江電子書籍版の1幕・2幕の一番いいところで流れていますね。書籍の容量が限られている中で、同じ曲を2回入れても良いのかとも思いましたが、菜々美と紗彩の湖での掛け合いのときに、菜々美のセリフでは菜々美のテーマが、紗彩のセリフでは紗彩のテーマがちょうど掛かっていて。これは入っているべきだよなと。

いとう使っていただいてありがとうございます。実は、Disc1・2はWFSさんで曲名を付けていたのですが、Disc3の楽曲についてはありがたいことにノイジークロークで曲名を付けさせていただきまして、この曲は作曲したときの衝動を端的に表現すべく、小説の一文をモチーフに曲名を付けていたりします

――この流れで聞いてしまいますが、真中華編でもテーマ曲が2回使われてましたよね。ディスコード戦と、最後に真中華が父親の遺した曲を聴くシーンとで。

蟹江今回頂いた真中華のテーマは、目の前の視界が開けるような、ポジティブな曲でした。しかも、フロウライン全員の楽器が使われていて、それらが一人ずつ集まってくるようなイメージもあります。最後、父親の曲を改めて聴いて真中華がブレイクスルーする場面も、彼女のヘッドフォンから流れている音楽と考えれば、もちろん父親の曲になると思うんですけど、その時のそのキャラの心情に重きをおいている『ららマジ』なら、この曲が流れるのがベストになるのではないかと思っています。

真中華のテーマは、更にもう1回ヨルムンガンド戦にも入れてしまっているんですが、フロウラインみんなで突撃する場面ではやっぱ流れてほしいよねという少し軽い理由で付けています(笑)。

――なるほどそういうことなんですね。ありがとうございます。では「魔法の音楽は、続いていくから。」について伺えればと思います。

蟹江これは泣けますよね。

いとうクライマックス専用の曲を作るというのは最初から決めていて、これだけは原稿をしっかり待って、読み切ってから作っています。

ヨルムンガンドが登場し、あの辺り一帯が水浸しになっているところから、災害の規模感を想定させつつも、おどろおどろしい感じではなく、ニュアンスとしては「世界崩壊」に近い絶望感を想起させるのが曲の前半ですね。そこから、「なんとかなる」という前向きな想いや「夜明け」のイメージを入れて、徐々に曲調は明るくなっていきます。

とはいえ、学校も崩壊してこれからどうなるのか。もう日常は戻ってこないのかもしれないということで、後半は『ららマジ』の日常系BGMメドレーが入ります。そして、最後は、召喚のBGMでもあった「魔法の導き」の1フレーズで終えます。これは、「まだ未調律の部員たちを早く出してほしい、頼むぞ!」という私からのメッセージでもあります(笑)。

――まさしくエンディングにふさわしい楽曲でした。最後のメッセージも腑に落ちますね(笑)。


《すえなが》
【注目の記事】[PR]

編集部おすすめのニュース

特集