幕開けは、戴冠式をテーマにしたオープニングムービーから。オーボエの音色が美しいバレエ組曲「白鳥の湖」“情景”が演奏される中、宮殿で王冠を授かった水樹は、バレリーナの姿からロングドレスにマントを纏った女王に変身する。
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そして「Glorious Break」の荘厳なイントロとともに、映像と同じ衣装でステージ上空から勇ましく現れた水樹は、そのまま高さ12mをフライング。
「全力でかかってこーい!!」のシャウトから「VIRGIN CODE」を熱唱し、開始早々からエネルギッシュな楽曲で観客のボルテージを一気にMAXまで高めた。
6年振りの「LIVE GRACE」に「ついにこの日がやってきたぜー!」と興奮を隠せない様子の水樹は、「今回初めて参戦する人はどんなテンションで行けばいいのか悩んでいたかもしれませんが…いつも通り全力ではじけまくってください!今日はパワー残して帰っちゃダメよ!」と、客席をどんどん煽っていく。
フルオーケストラという特別編成ながら和気あいあいとした空気をかもしつつ、久々のパフォーマンスとなった「Love Trippin'」でステージの端から端までキュートな笑顔を振りまく水樹。「Nocturne-revision-」では切ない歌声を響かせ、「夢幻」では艶やかな表情で舞い歌う姿で会場中を魅了した。
そしてここで、翌日1月21日の誕生日をオーケストラの生演奏と豪華なコーラス隊の合唱でお祝いされると、水樹はこれを「今年もこうして皆さんに祝って貰えて幸せです!」と喜ぶ。
ステージ上に掲げられた時計が、水樹が生まれた9時58分を指していることも明かされ、「ここからまた新たな水樹奈々が生まれるという思いを込めています」という本ライブへの並々ならぬ思いも語られた。
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水樹は続いて、これも久々の「DRAGONIA」や、2018年10月に発売された最新シングル収録の「嘆きの華」など、新しい曲からレアな曲までを織り交ぜながらパフォーマンスしていく。
ライブお馴染みの幕間ショートムービーでは、オープニングから引き続き「白鳥の湖」をベースとして、白鳥と黒鳥の戦いを水樹の一人二役で熱演。約1年前からバレエのレッスンを始めたという水樹は、この映像がチュチュやピンクタイツ姿の初披露の場となったが、これについては後のMCで「いつか舞台上でバレエを踊れるように頑張ります!」とも意気込んだ。
映像の上映後には、アシンメトリーなシルエットが映えるブルーのミニドレスに身を包んだ水樹が再登場。「Never Let Go」では、ステージ上の紗幕に投影されたCG映像とリンクすることで、さながら嵐の中で歌っているような演出が展開される。
さらに水樹のバックバンド・Cherry Boys(チェリボ)にストリングスの3名を加えたアコースティックコーナーでは、「Brilliant Star」「あしたgraffiti」「ラストシーン」という毛色の異なる3曲を演奏。
オーケストラの面々がカムバックした「Dancing in the velvet moon」ではフロートに乗り込んで、アリーナを一周しながら観客に手を振ったりアピールしたりといったコミュニケーションを楽しんでみせた。
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東京フィルハーモニー交響楽団による「威風堂々」第1番の演奏から、ライブもいよいよラストスパートへ。本ライブで最大の同時出演人数となる149名がステージに勢揃いし、激しいロックチューン「WHAT YOU WANT」を披露する。
また「みんなのありったけのパワー、私に分けてください!」と叫んでスタートした「アパッショナート」から「GET BACK」、「UNLIMITED BEAT」では、演奏陣&コーラスの迫力に引けを取らないパワフルな歌声が披露され、会場全体の一体感も最高潮に。
本編最後には「私の全力全開の思いを、愛を込めて届けたいと思います」というトークとともに壮大なバラード「愛の星」を披露。ピアノとストリングスの美しい旋律に乗せて、抒情的に歌い上げて締めくくった。
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「奈々コール」に呼ばれたアンコールでは、2018年に公開された映画『魔法少女リリカルなのは Detonation』から主題歌「NEVER SURRENDER」を歌唱。定番の「シャッス!」の掛け合いの後、2019年夏のライブツアー開催を発表し、「今年の夏も水樹奈々と駆け抜けましょう!」の呼び掛けには客席からも歓喜の声が上がる。アンコールのラストには「STORIES」が披露され、全ての出演者へ惜しみない拍手が送られた。
興奮冷めやらぬ会場の声援に応えて突入したダブルアンコールには、「まだ帰りたくなーい!…もう一曲だけ歌わせてもらってもいいでしょうか?」という水樹とチェリボのバイオリニストのみが登場。水樹の歌とバイオリンだけの「絶対的幸福論」で、感動に包まれる中ライブの幕が閉じられた。
「NANA MIZUKI LIVE GRACE -OPUS III-」
写真:上飯坂一、小境勝巳