アニメファンよ、「若おかみは小学生!」を見たか? 原作やTV版を知らなくても楽しめるのか行ってみた | アニメ!アニメ!

アニメファンよ、「若おかみは小学生!」を見たか? 原作やTV版を知らなくても楽しめるのか行ってみた

SNSを中心とした口コミで話題を集めている『若おかみは小学生!』。原作小説やTV版を未見である筆者が、実際に作品の魅力をレビューします。

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劇場版『若おかみは小学生!』(C)令丈ヒロ子・亜沙美・講談社/若おかみは小学生!製作委員会
  • 劇場版『若おかみは小学生!』(C)令丈ヒロ子・亜沙美・講談社/若おかみは小学生!製作委員会
  • (C)令丈ヒロ子・亜沙美・講談社/若おかみは小学生!製作委員会

■口コミで話題! Twitterのつぶやきで視聴を決意して……



実を言うと、私は『若おかみは小学生!』の原作児童文学小説やマンガ版、そして、TVアニメ版を見ていない。TVアニメ版は、名前を聞いたような気がする、という程度で、正直、全然、気にもとめていなかった。
そんな私が、本作劇場版『若おかみは小学生!』を観に行こう、と思い立ったのは、Twitterのつぶやきだった。

何となくTwitterを眺めていると、『若おかみ』は名作、とか、観に行ってない人はいち早く観に行って欲しい、とか、上映期間が終わる前に観に行って! といった声が散見されるのだ。
中には「もっと有効に宣伝をした方が良いのでは?」とか「これ見逃した人、絶対後悔する!」といった、大げさと思えるようなつぶやきすらあった。

ほんの少しだけ気になって、家に帰ってから、公式サイトをのぞいてみた。
まず目に飛び込んだのが、高坂希太郎監督の名前だった。あの名作『茄子 アンダルシアの夏』の監督だ。

そのままスタッフのページに飛んで、これは観に行かなくてはいけない、と思った。
そこに並んだ名前は、『マリア様が見てる』『けいおん!』シリーズなど、大ヒットシリーズを手がけている脚本家吉田玲子さん、ゲーム『MOTHER』シリーズ、映画『東京ゴッドファーザーズ』や北野武監督の『アウトレイジ』シリーズの音楽を担当した鈴木慶一さん、そして、アニメ制作には、『エースをねらえ!』から『茄子 アンダルシアの夏』『東京ゴッドファーザーズ』『時をかける少女』『サマーウォーズ』など、傑作を生み出し続けているマッドハウスだ。

■一貫した「丁寧」な描写に惹き込まれる



さっそく近くの映画館で上映時間をチェックすると……どこの映画館も上映はしていても、1日1回、多くても2回、しかも午前中や昼頃といった時間帯。
なるほど、Twitterでみた嘆きもうかがえる。これでは仕事帰りに観に行くことは難しい。

仕方がないので、一番早い休日のチケットを取り、いざ劇場へ。
その日は(平日ということもあり)私を含め、5、6人だけだった。
まあでも、こういった経験は何度かある。むしろゆったり観られるな、と前向きにとらえて、上映開始を待った。

映画が始まって、まず目を奪われたのが冒頭のお神楽のシーン。
しっかりしたアニメーションで、見入ってしまった。この時、これは確かに……と、改めて姿勢を正したのを覚えている。
これは後から知ったのだが、実はこのシーン、女流舞踊家として著名な花柳大日翠さんによる振り付けとのこと。さすが専門家に任せているだけのことはある。

作品全体を通じて感じることは、お神楽のシーンで感じた「丁寧」な作りだった。
料理を作るシーンでは、包丁に玉子焼きが反射していたり、眼鏡のレンズによる光の屈折もきちんと表現されていたりする。
こういう細かい描写を丁寧にきっちりとアニメ作品で再現しているため、映像を見ていて何の違和感なく、自然と『若おかみ』の世界に入り込むことができた。

90分間で主人公の成長が自然と分かるような丁寧な演出、テンポが良い展開、終わってみると、満足感で一杯になっていた。
エンドロールには高坂監督のイメージボードが用いられており、これが映画の余韻をよりいっそう楽しませてくれるうえ、想像をかき立ててくれる至上のものだった。

■「時かけ」や「この世界」に連なる、口コミで躍進を遂げた一作



家に帰ってパンフレットを眺めながら、作品を思い起こしていると、いろいろな想いが浮かんできて「なるほど」とか「もしかしたら」といった自分なりの解釈がふくらんできた。
主人公の明るくて前向きな性格が、深刻になってもおかしくない展開をはらんでいても、本作が前向きで明るく、観終わった後に笑顔になる理由が、しっかりと納得できるのだ。

自分でも本作を鑑賞してきたことをつぶやこうと、Twitterを開いてみると、ぽつりぽつりと、上映館情報が出ていた。よく見てみると、あちこちで上映時間を増やしているじゃないか!
中には予約状況をつぶやいている人もいて、それを見るとほぼ埋まっていた。どうやら、私のようにTwitterや様々なSNSの評判を聞き、多くの人が劇場へと足を向けているらしい。
本作も、ここ数年みられるような、『時をかける少女』『この世界の片隅に』『カメラを止めるな』など、SNSにより名作が世に広がっていく素晴らしい結果なのだろう。

まだご覧になっていない方や「少し興味はあるんだけど…」と二の足を踏んでしまっている方は、この機会にぜひ劇場に足を運び、本作を堪能して欲しい。
私などは、早速、TV版から観てみようと思っている。このままいくと、原作やマンガ版も手を出すことになりそうだ。

『若おかみは小学生!』は、子どもから大人までが楽しめる、本当に間違いなく素晴らしい劇場版アニメ作品である。

(C)令丈ヒロ子・亜沙美・講談社/若おかみは小学生!製作委員会
《おおぬき》
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