作品づくりは「why?」を問いかけることが重要 元ピクサー・堤大介監督が説く | アニメ!アニメ!

作品づくりは「why?」を問いかけることが重要 元ピクサー・堤大介監督が説く

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作品づくりは「why?」を問いかけることが重要 元ピクサー・堤大介監督が説く
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2017年9月21日(木)、東京港区のヒルトン東京お台場にて、3DCGソフトウェアメーカーAutodeskによるセミナーイベント「Autodesk University 2017」が開催された。その中で、ピクサー・アニメーション・スタジオにてアートディレクターを務めた堤大介氏が登壇し、「世界と会話するクリエイターになるために」と題して講演を行った。

現在はピクサーから独立し、自ら設立したアニメーションスタジオ・トンコ ハウスにて数々の作品を発表している堤氏だが、作品作りにおいて意識しているのは「What(なに)」と「Why(なぜ)」である、と切り出した。
小学生の頃から高校に至るまで絵は得意ではなく、やりたかった「What(なに)」は野球だった、高校卒業後に渡米し、コミュニティカレッジで年配の方に絵を褒められたことをきっかけに、やりたい事「What(なに)」が絵を描くことになった、「アメリカの人を褒める文化はすごい」と語った。

絵を描く仕事の中からアニメーションを作る仕事に移行したことで、やりたい事「What(なに)」がアニメーションを作ることに変わっていったという。集団作業であるアニメーション制作に興味を持った理由の一つとして、幼少期に野球を通じてチームワークを学んでいたことを挙げた。
その後、ピクサースタジオにてアートディレクターとして『トイ・ストーリー3』などの作品に携わるようになり、ピクサーで働くことが「What(なに)」になった。

それと並行してこの時期、1冊のスケッチブックを尊敬する様々なアーティストに手渡しし、交流しながらイラストを描いてもらう「スケッチトラベル」という活動を開始した。最初は自分の楽しみとして始めたものだったが、4年半かけて宮崎駿監督など高名なアーティストに協力してもらううちに、この活動をチャリティーにしたいと考えるようになったという。

スケッチブックをチャリティーオークションに出品した際の落札額1000万円以上と書籍化した売上は、カンボジアやスリランカなど8つの発展途上国に小さな図書館を建てる活動に寄付した。そして実際にこの活動で建てられた図書館で本を楽しむ現地の子供たちの姿を見たことで、「Why(なぜ)」自分は絵を描くのだろう、という疑問に直面することになった。

さらに、ピクサースタジオで働きながら制作した短編アニメ作品『ダム・キーパー』(アカデミー短編アニメ賞ノミネート、現在20世紀FOXにて長編映画として続編制作中)を地元の子供たちのために上映した際、自分たち自身のことのように作品を観賞している様を見て、より「Why(なぜ)」絵を描くのか? という問いに応える作品作りをしたくなったという。

この問いに応えるためピクサースタジオを退社し、同じく退社したロバート・コンドウ氏とトンコハウスを設立。より「Why(なぜ)」絵を描くのか? の答えとなる作品作りを開始。『君の名は。』を手掛けた川村元気プロデューサーによる絵本を原作とし、2017年のメディア芸術祭にてアニメーション部門新人賞を受賞した短編作品『ムーム』などを発表している。

「Why(なぜ)」作品を作るのか? は常に堤氏の中に居続ける問いであり、それに答える旅はまだ始まったばかり。ビジネスで作品のプレゼンテーションをする際も、必ず最初に「なぜこの作品を作る必要があるのか」から話し始めるという。

堤氏は講演の最後に「Why(なぜ)」に対する大きなヒントとなる言葉を紹介した。それはスケッチトラベルプロジェクトの中で出会えた尊敬するアニメーション作家、フレデリック・バック氏(『木を植えた男』監督)から言われた「才能というものは世の中に光を照らすためにあるんだよ」という言葉だという。

作品作りにおいて「Why(なぜ)」作品を作るのか? という問いが大事であり、その作品が世界に光で照らす役割を担ったものであれば、文化や国をまたいでも楽しんでもらえるものになるのでは、と講演を結んだ。
《いしじまえいわ》
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