2017年3月26日(日)、総合アニメイベントAnimeJapan2017のクリエイションエリアにて、クリエイター講座「アニメの「企画」について」が開催された。Production I.Gのプロデューサー森下勝司が講師を務め、アニメにおける企画とはどういったものなのかを、自身の体験や考え方を交えながら受講者に向けて伝授した。森下は、『攻殻機動隊』シリーズや『ハイキュー!!』などのヒット作を数多く手掛けてきた制作会社Production I.Gで取締役企画室担当と企画室室長を兼任。さらに2014年10月には、新たに設立されたグループ会社「シグナル・エムディ」の代表取締役社長にも就任している。主な担当作品に、『進撃の巨人』シリーズ、『攻殻機動隊ARISE』、そして現在公開中の映画『ひるね姫~知らないワタシの物語~』がある。講座は、アニメーション制作のワークフローについての基礎的な解説からスタート。準備段階であるプリプロダクション、現場での実制作を行うプロダクション、最終工程であるポストプロダクションの三段階の分類のなかで、企画はプリプロダクションに含まれる。また、プロデューサーにも二種類あると説明。一つはスタッフの選定、スケジュール、予算管理など、主に制作面を統括する(ライン)プロデューサー。もう一つは企画の立案、制作資金の調達、宣伝など、主に対外交渉やビジネス面を担当する(アニメーション)プロデューサー。このうちで、自分は後者に含まれる、企画を成立させるための工程と、成立した企画を取りまとめビジネスとして展開していく工程を取りまとめるのが主な仕事であると語った。そこで森下が強調したのは、新しいビジネスモデルを企画することの重要性だ。少子高齢化に伴い、アニメの市場人口は減少傾向にある。森下は、2017年にNetflixでの独占配信が決定しているアニメ『パーフェクト・ボーンズ』を例に取りながら、ネット配信など海外を見据えた新市場にアプローチすることが、新しい収益源の開拓に繋がると力説。また、コンサートやライブなどといった"生"のイベントに需要が集まる傾向から、近年は「ライブ感」が重要なキーワードになってきていると分析する。森下は、自身がプロデュースした、声優と朗読劇を組みわせたライブ『朗読劇シアトリカル・ライブ』の企画書を例に、ビジネスを企画する上でのポイントを具体的に解説。そのうえで、流行りの情報を収集するネットワークやアンテナをつねに張りつづけることの大切さを語った。質疑応答では、「監督は誰が決めるのか」「日本の3DCGについて」「日本の制作現場の特殊性」など、会場からは幅広い質問が飛び交い、森下はそれら一つひとつに対してていねいに回答。最後に、「夢や希望をブレずに持ち続けていれば、いずれ実現するときがある。そして実現したあとも、次の夢を設定してもらいたい」と、学生へ向けた熱いエールで講座を締めくくると、会場は温かな拍手で包まれた。AnimeJapan 2017ビジネスエリア:2017年3月23日(木)~3月24日(金)メインエリア:2016年3月25日(土)~3月26日(日)会場:東京ビッグサイト
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