場内が明転してからは多くの人が投映機を撮影していた。解説員の安藤さんの周りにも多くの人が集まる。プラネタリウムにいる解説員のみなさんは気さくで、疑問点などがあれば答えてくれるのだ。『プラネタリアン』への思いを告げる人、プラネタリウムの構造を聞く人などが安藤さんを囲み賑わった。
座席にはプラネタリウム映像を制作したD&Dピクチャーズ・中山プロデューサーの姿も。世界初公開となる投映が無事終わり、ひとまずホッとした表情を見せていた。コメントを求めると、準備してませんでした、と照れながらも「やっと、ですね。嬉しい気持ちと、実際に見てフィードバックもあったので、これからまた次に繋げていきたいと思います」と語ってくれた。
最後に解説員の安藤さんからも本作を上映することに対する感想をうかがった。
「全国一斉に配給されるシネコンと違ってプラネタリウムは各館が自分たちで上映作品を決めるものですから、『やろう!』と決めないと掛からないわけです。今回、D&Dピクチャーズさんからお話をいただいて、この春にやろうとみんなで決めました。ですからまずは完成が間に合ってよかったです(笑)。作品のテーマとしてはプラネタリウムで見るからこそ感じられるものは大きいなと強く思いましたし、この作品が多くの方から愛されているんだと言うことは、上映を決めて宣伝している中で皆さんからいただくメッセージなどから感じていました」
当プラネタリウムで掛かる他の映像作品では拍手が出ることはまずないという。
「通常の投映ですと、解説員が話したことに対する拍手が出ることはありますが、上映が終わってからというのは、やっぱりみなさんの思いが形になったんだなと実感しました」
上映は4月5日まで1日1回の投映が続く。
「当館は世界一高いところにあるプラネタリウムとしてギネス登録されていますが、下はデパートなんです。ですから『プラネタリアン』の舞台となった花菱デパートに近い作りですよね。作品では星のない世界というのが非常に不自然なものだということが描かれていますが、まさにプラネタリウムはそういうものなんです。星を見て地球を感じる。自分たちがどういうところにいるのか、と知ることはとても大切ですよね。なるべく最高の環境で見ていただけるように我々も準備していますので、ぜひいらしてください」
『プラネタリアン』だけでなく、世界初公開となる映像がこの施設では上映されている。
「別のプログラムではオーロラのリアルタイム4K動画が見られる番組があります。目で見たスピードそのままがプラネタリウムに投映されるというのはこれまで実はどこにもなかったもの、世界初公開なんです。『プラネタリアン』をご覧いただいた際には、ぜひこのプログラムも一緒に堪能してください」
各番組の空席状況などは館まで直接電話をすれば教えてくれるとのこと。また、「オフ会に!」とオススメしてくれたのは20人以上での利用で団体割引と予約だ。グループで参加して、感想を言い合うのは楽しそうだ。
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郡山市ふれあい科学館スペースパークではじまった『プラネタリアン~ちいさなほしのゆめ~プラネタリウム特別版』は、各地のプラネタリウムで上映の要請があれば上映可能となる。そのための第一歩を踏み出した。遠方からは足を運びづらいこともあるかも知れないが、春休みを使って、ちょっとした旅行を兼ねてプラネタリウムを見に行くというのはとても贅沢な時間の過ごし方ではないだろうか。