高浩美のアニメ・マンガ×ステージ評 「ツキウタ。」「クジラの歌は砂上に歌う」「おやすみ、ジャック・ザ・リッパー」 | アニメ!アニメ!

高浩美のアニメ・マンガ×ステージ評 「ツキウタ。」「クジラの歌は砂上に歌う」「おやすみ、ジャック・ザ・リッパー」

連載・コラム

 
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高浩美のアニメ・マンガ×ステージ評
第168回

■ 舞台『クジラの歌は砂上に歌う』

梅田阿比原作の『クジラの子らは砂上に歌う』 (秋田書店「月刊ミステリーボニータ」連載中)、『このマンガがすごい!2015』オンナ編において10位にランクイン。さらに『次にくるマンガ大賞』にノミネートされている。

舞台にはなにもなく、砂浜をイメージした八百屋舞台のみ。主人公のチャクロ(赤澤燈)はこの物語の語り部であり、記録係でもある。泥クジラの住人の9割は短命の能力者、その抗えない運命が彼らに影を落とす。チャクロたちが出会った少女・リコス(前島亜美)、彼女は、泥クジラの住民に敵対する帝国軍の人間であった。ファンタジックな設定、登場人物たちは生きることに懸命だ。泥クジラを攻撃する帝国軍は”処刑”と言い放ち、チャクロたちにはなんのことだがわからなかったが、その”秘密”が明らかになり、絶望的な状況でも帝国軍に立ち向かっていく。
群像劇の要素もあり、全てのキャラクターの生き様や人間関係を見せる。帝国軍の兵士たちは皆、ピエロの仮面を被って登場、無表情で無機質、圧倒的な不気味さを漂わせながら、刀を振り回す。

なんのために生きるのか、人は何故戦うのか、愛すること、思いやること等、そのテーマは深淵で根源的だ。アニメ化されていない分、俳優陣はクリエイティブな作業をしなければならない。その成果が舞台で発揮されており、この舞台からアニメ化されてもいいぐらいの出来映えだ。

[公演データ]
舞台『クジラの子らは砂上に歌う』
2016年4月14日~4月19日
AiiA 2.5 Theater Tokyo
http://kuji-suna-stage.com/

■ 舞台『おやすみ、ジャック・ザ・リッパー』

現在 『ARIA』(講談社)連載中の『おやすみ、ジャック・ザ・リッパー』が舞台化された。”シザーハンズ”の異名をとる死刑執行人、エドワード、ある日、少女に刺され地獄へと堕ちてしまう。目が醒めるとそこは冥界だった。
幕開きはコミックもそうだが、エドワードの独白から始まる。「いつか、地獄へ堕ちると思っていた……」”ホラー”かと思いきや、絶妙なタイミングで外してくれる。何故かおでんが出てきたり、その大鍋に足を突っ込み「熱い!熱い!」を連発する理容室のジャック、なりゆきでエドワードはジャックから理容店を任されるはめになる。しかも「地獄で普通暮らすこと」が命題だ。ハチャメチャなジャックたちと過ごすうちにエドワードは彼らに対して親しみを覚えていく。ジャックやウルフ、見た目は怪しいが、性根は心優しい、愛すべきキャラクターだ。3人の気持ちの変化や心の交流がほのぼのしている。
ゴシックホラー的風味であるが、中身はコメディ色が強い。この落差が面白く、あぶない場面もきわどいところで、ガクッと絶妙に外してくる瞬間が面白く、観客席から笑いが起こる。背景に映し出されるマンガの作画、台詞、原作と視覚的にシンクロさせる。ところどころにミュージカル風に歌を差し込んで場面を、感情を盛り上げる。

エドワードを演じる高崎翔太は、”災難巻き込まれ型”な主人公をちょっとコミカルな味付けで好演。ちょっと謎解きの要素もあり、コメディでありながらも、シリアスでシュールな部分もある。コミックの映像と俳優が時折シンクロする場面もあり、原作の雰囲気もアピールしつつの舞台化、原作を紐解いてみたくなるような気になるのは、ほどよく原作に寄り添っているからであろう。

[公演データ]
舞台『おやすみ、ジャック・ザ・リッパー』
2016年4月20日~24日
博品館劇場
http://www.zen-a.co.jp/OJR2016

■ 2.5次元ダンスライブ『ツキウタ。』ステージ

『ツキウタ。』はインターネットを中心に支持を集める新鋭作曲家陣と、豪華声優陣がタッグを組み、12ヶ月をイメージしたキャラクターがそれぞれの月をイメージした楽曲を歌い、CDシリーズでは2012年12月からリリーススタートした。今年4年目を迎える本作は、今夏よりTVアニメの放送が決定している。
今回は、その舞台版、12月~5月のキャラクターによるユニット・Six Gravity(シックスグラビティー)のキャラクターが登場するver.BLACK公演と、6月~11月のキャラクターによるユニット・Procellarum(プロセラルム)のキャラクターが登場するver.WHITE公演の2種類のステージを交互に上演、ダンスライブパートでは、『ツキウタ。』シリーズの原曲音源を使用し、アクターたちのダンスパフォーマンスでそれぞれのユニットのライブステージを“2.5次元”として再現。

初日はver. BLACK公演でSix Gravity(シックスグラビティー)メンバー、ライブが多いので、ペンライト、団扇等を持ってきた方が盛り上がれる。ライブショーの合間に芝居が入る、という構成で、ライブシーンは”芝居”の一部、観客もライブシーンに”含まれる”、つまり、単なるライブシーンではないところがポイントだ。
メンバーは皆、芝居にダンスに全力投球、コミカルなやり取りも楽しく、観客席は笑いが絶えない。今回が初の舞台化、皆、大張り切りで、ところ狭しとパーフォーマンス。もちろん観客にもサプライズがある。
この舞台の物語設定も実際の公演も2チーム交互に行うので、いわゆる実と虚の狭間、つまり、全てがいわゆる”2.5次元”ということになる。コンテンツをまるごと楽しめる、いや楽しむものである。次回公演もある、と期待したい。

[公演データ]
2.5次元ダンスライブ『ツキウタ。』ステージ
2016年4月23日~5月1日
東京・星陵会館
http://www.tsukista.com/
《高浩美》
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