「ひと夏のアクエリオン」 時間も場所も飛び越えた究極の愛が”合体” 3ページ目 | アニメ!アニメ!

「ひと夏のアクエリオン」 時間も場所も飛び越えた究極の愛が”合体”

■ 「異質な物が1つに融合していく感覚、舞台上で役が降りてくる感覚を実際に目撃した感覚が得られました」(河森正治)

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『ひと夏のアクエリオン」 一万年と二千年前から愛してる(C)河森正治・サテライト/ALC/GP
  • 『ひと夏のアクエリオン」 一万年と二千年前から愛してる(C)河森正治・サテライト/ALC/GP
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■ 俳優(LiveAct)と声優(LiveVoice)の芝居のシンクロと”合体”、そして”無限拳(むげんパンチ)”炸裂

冒頭は12000年前、世界の始まり、創世の神より命を授けられた<輝く翅をもつ者>と<高き知恵を持つ者>は、いつしか憎しみ合い、激しい争いを繰り広げる。その運命は、堕天翅族の<ライハ>と、魔導士の<ガレ>にとっても無縁ではなかった。狭間の巫女<イリア>の願いもむなしく、両種族の平和を誓った2人、ライハとガレの一騎打ちのシーンが始まる。
そしてシーンは現代、いかにも冴えない、部活とかまるでやったことがない、運動神経もなさそうな、拳一という名の少年が登場する。入学早々、優花の勧誘で演劇部に入部する。そこには、絵に描いたようなイケメンでエース部員・波瑠斗、小柄でキュートな優花、その他個性的な面々がいた。目標は演劇コンクールで優勝すること。それに向けての夏の強化合宿を行うことになる。そこで拳一、波瑠斗、優花、12000年の時を超えた、因縁の対決が始まる……。演劇部というベタな設定、いかにも、だ。この夏合宿で起こる”ひと夏”の出来事が今回の物語だ。

前回は映像を駆使していたが、今回は一切使わないのが特徴だ。また俳優陣にもかなりのボリュームの台詞がある。見どころはなんといっても俳優(LiveAct)と声優(LiveVoice)の芝居のシンクロと”合体”だ。
拳一、波瑠斗の身体に12000年前の魂であるライハ、ガレが少しずつ入り込み、一体化する。俳優(LiveAct)自身の台詞と声優(LiveVoice)自身の台詞の掛け合い、そして声優(LiveVoice)が台詞、俳優(LiveAct)が演技、という”合体”スタイルで表現する。
俳優(LiveAct)は昨年の舞台『ノブナガ・ザ・フール』で経験済の安達と北村。2人とも芸達者で好演。また、夏合宿で”流しの教師”が突然登場、名前は不動!ベタなキャラクター登場(しかも格好もベタ!)に観客席は大いに沸く。期待通りのキャラだ。

『創聖のアクエリオン』を知ってるファンなら、よくわかるネタや台詞が多く、大きく頷けるところ満載。合宿の食事はカレーライス(ルーとご飯が”合体”)だったり、といちいち細かく”合体”する。ここは大いに笑いたいところ。クライマックスには”お約束”の”創聖合体”、アナログ的な演出だが、アニメのシーンが脳内変換される。そして圧巻は”無限拳(むげんパンチ)”。映像無しで、迫力のあるシーンを創造、俳優陣の頑張りが光る。

24日の初日は声優陣(LiveVoice)は小林裕介(ライハ)と菅沼久義(ガレ)。衣装はつけてはいないが、俳優陣(LiveAct)の安達勇人と北村諒とイメージカラーで”シンクロ”させ、ビジュアル的にもわかりやすい。こういった表現は初めて、と声優陣(LiveVoice)はアフタートークで語っていたが、流石の演技力と瞬発力、熱演、安定感もあった。
ラストは泣ける。皆、それぞれに見せ場があり、勢いのある舞台。時空を超えた戦いの後、皆、心の中の何かが変わる。悪人は登場しない。それぞれの正義とこだわりがある。1幕もので2時間程、長さを感じさせず、テンポ良い舞台運び。文字通りの熱演、アフタートークで北村が「安達君の汗で滑らないようにしないと」と笑わせたが、それこそ大汗かいて頑張る出演者、楽曲はアニメと同じく、菅野ようこ。サブタイトルは”一万年と二千年前から愛してる”。ラストで、このタイトルが生きてくる。

上演後、アフタートークがあった。登壇したのは小林、菅沼、安達、北村、そして客席で見守っていた河森監督の5人。河森監督は1回目の『ノブナガ・ザ・フール』の公演の時に”合体感覚”を感じたといい、2回目は『アクエリオン』と決めていたそう。また、無限拳は稽古の途中で思いついた、と発言。また、演劇部員という設定に関しては”合体”が表現出来るから、とコメントした。

なお、声優陣(LiveVoice)は日替わり(26日は内田雄馬、柿原徹也、27日は近藤隆、興津和幸)。キャストが変われば雰囲気も変わる。そういった楽しみもある今回の企画、次回はどんなサプライズを仕掛けてくるのか、その名の通り、”まさか!、そんなバカな!”というものを期待したい。

『ひと夏のアクエリオン」 一万年と二千年前から愛してる
2015年7月24日~26日
アイア2.5シアタートーキョー

『ひと夏のアクエリオン」 一万年と二千年前から愛してる
(C)河森正治・サテライト/ALC/GP
《高浩美》
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