アニメライターの仕事術-第13回 時間を「見える化」しよう! | アニメ!アニメ!

アニメライターの仕事術-第13回 時間を「見える化」しよう!

連載・コラム

■時間の把握が物理的にできるツールを作る

前回、作業の予定を記した「進行表」から、作業した結果をつける「記録表」の中間には、「この期間にこれだけの量の作業ができるだろう」という目安をつけるための「見積もり表」が必要だとわかりました。

さて、見積もり表を作ろうと思った私は、デジタルツールだとピンと来ないので、紙を使うことにしました。
ノートに線を引いて、ひと月分のカレンダーを作りました。
各日にちの空きスペースは、タテに長くとりました。

そこに、細いフセンを用意しました。
フセンは1枚=1時間を表わします。

「この仕事には、これだけの作業工程があるのだな」と、「GTD(/TODOリスト)」の教えに従って工程をリストアップしていきます。

そして、リストアップした工程について「それぞれこれくらい時間かかるだろうな」と想像して設定していきます。それが「見積もり」になります。

たとえば私の仕事で言えば、アニメの脚本を読んで、起こった出来事や心理描写などをメモとしてワードに打ち込む作業があります。
1話につき20分かかるとすると(同業の皆さんから遅ッ!とツッコミが入りそう…)、5話分なら20分×5話=100分かかる。1時間40分です。バッファ(予定がずれこんだときの予備の時間)を入れると、全部で2時間かかるだろうなと概算します。

所用時間は2時間なので、使うフセンは2本。
フセンに「『◯◯作品』脚本メモ その1」、「『◯◯作品』脚本メモ その2」と書き込みます。

カレンダーのその作業をやりたい日にフセンを貼っていきます。

おお、見積もり表の完成です!


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フセンの色は、仕事ごとに違う色にしました。

見積もりから時間がオーバーした分は、1時間ごとにフセンを足して、赤い文字で「追加」と書いておきます。そうすることで、次回の見積もりがより正確になるだろうなと。これがフィードバックというものなのか……!

■見えない「時間」を、「物理的なモノ」として把握する

すると、今までにないことが起こりました。
「1日フルで仕事をしても、フセン8枚が限界かな」
「原稿仕事は頭を酷使するから、1日に4枚~5枚しか貼れないな」
「原稿仕事は1日に4枚しか貼れないけど、別の作業ならフセンを3枚足せる」
というように、細かく裁量ができるようになってきたのです。

たとえ作業にかかる時間は短縮できなくても、脳の疲労や同じ作業に飽きたときに、翌日の予定として貼っていたフセンを今日に移動してその作業をすれば、少なくとも何らかの仕事は進みます。

そうこうするうちに、1日で7枚=7時間は集中して作業が進むようになりました。以前の記録を見返すと、作業がエンドレスに続いている気がしているだけで、実作業は4時間くらいしかしていない、ということも多かったですからね……。

フセン1枚を1時間という定量にすることで、時間を「量」として把握できるようになった!

脳の疲れに応じて作業フセンを貼り換えたりと、細かく調整することで時間がムダにならずに済む!

自分的には大進歩です!

この自作の「見積もり表」の完成によって、予定→見積もり→記録 という流れができました。また、最も手こずっていた「時間の量の把握」ができるようになりました。

私は「時間を把握する」ということが苦手だと思っていたのですが、フセンで時間の量を見積もり始めたことで、「時間」は、バーチャルなつかみどころのないものではなくて《物理的な量に変換できる》と気づいたことが大きな進歩でした。

「全体の把握」が遅くなるために、〆切までの目測がうまくできない。
そこから、物理的なツールによって、時間の量が認識できるようになりました。

さて、連載のこれからです。
これまで《〆切を正しく焦るには、時間の把握が必須》だと書いてきました。
が、私の仕事術としては、もうひとつ超大事なことが残っています。
《テンションの上げ方》です。

時間の把握という苦手分野をどうにか克服した後は、得意分野(……に、なり得るもの)に移行していきます。気分が上がると超頑張れる「テンション型」の強みを生かした手法を書いていきたいと思います。

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■ 渡辺由美子(わたなべ・ゆみこ)
アニメを専門にするカルチャーライター。インタビュー記事、評論、エッセイなどの原稿を書いたり、誌面を構成したり。web媒体『ASCII.jp』で「誰がためにアニメは生まれる」を、隔月刊『Febri』で「妄想!ふ女子ワールド」等を連載中。単行本『ワタシの夫は理系クン』(NTT出版)など。渡辺由美子ブログはこちら。
イラスト・宮原美香
《渡辺由美子》
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