【第二章】學蘭歌劇『帝一の國』大盛り上がりでハイテンション舞台炸裂 2ページ目 | アニメ!アニメ!

【第二章】學蘭歌劇『帝一の國』大盛り上がりでハイテンション舞台炸裂

高浩美の アニメ×ステージ&ミュージカル談義 ■ 昨年は初の舞台化、今年も同じキャストで続投

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(C)古屋兎丸/集英社
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■ 抱腹絶倒、笑って、笑って、時折、ホロリ。キャストの熱演はドロドロした権力闘争とは裏腹に清々しい

原作もそうだが、舞台は冒頭からハイテンション。”学蘭歌劇”と銘打っているので、歌ありダンスあり、の賑やかなステージだ。今回はなんといっても最大のハイライトは生徒会選挙。ここで生徒会長に選出されれば将来を約束されたようなものなのだ。
1年生の帝一たちは、まず、次期生徒会長候補の中で有力視されている先輩について応援しなければならず、ここを見誤ると将来がないのである。

幕が開き、すぐに歌に入る。「誰が頂点に立つのか」と歌い、「未来が欲しい、君が欲しい」と歌う。誰しもが持っている”欲”と”夢”。この物語の登場人物たちはこの”欲”と”夢”に実に忠実だ。そのためには手段は選ばない、ある意味正直者だ。それから畳み掛けるようにキャラクター紹介の映像が入る。
このままストーリーに突っ込んでいくのかと思いきや、オールラウンダーズによる”今までのおさらい”を人形劇で振り返る。初演を観てない、1~4巻まで読んでない観客はここで『帝一の國』のバックグランドがわかるようになっている。この人形劇が、なんともホッとする感じで可笑しい。

生徒会長になるために、票集めに奔走する2年生・氷室ローランド。彼のライバル・森園億人。対照的な2人だ。氷室はだんだん狂気に陥り、遂にやってはいけないこと、金をばらまき始める。友人であり、サポート役の駒 光彦はそれでも彼に尽くす。
氷室はいじめられっ子だった。それを助けたのが駒だった。対する森園は実に冷静沈着である。森園は両親が離婚、将棋で強くなれば母は帰ってくる、そう信じて将棋の腕を磨いてきた。氷室も森園も心の奥は傷ついている。
一方、帝一の父は氷室の父とは犬猿の仲であった。それを初めて知った帝一はショックを受ける。何故なら、氷室に忠誠を誓っていたからである。生徒会長になる野望を持つ帝一は、腹心の友・榊原光明と共に、このピンチに対峙する……。

ところどころに挿入される歌は”昭和の香り”がする楽曲ばかり。1幕の山場のひとつはサブタイトルにもあるように帝一たちが踊るマイムマイム。舞台から客席通路に降りてきて歌い、踊るので、ここはひとつ、キャストたちと踊って楽しみたい場面だ。
そして、もうひとつの山場は生徒会長選挙。接戦を繰り広げられるのだが、最後の1票は泣かせる。真の友情とは何かを考えさえられる場面だ。幕切れも衝撃的(笑激的)だ。原作を予め読んでいればわかるのだが、ここの舞台表現がなんとも可笑しくて、大いに笑いたいところだ。

2幕目はその幕切れの続きから。新生徒会長・森園のリーダーシップぶりはなかなかだ。早速、ある”英断”をする。ライバルであった氷室を副会長に任命するのである。そして春になり、新しい1年生が入学してくるのだが、これが個性的過ぎな面々。さらに森園はもっと思い切った”英断”をするのである……。

赤場帝一が主人公ではあるが、群像劇でもある。どのキャラクターも主人公になりうるくらい”濃い”。赤場はピンチには大仰に反応し、そんな赤場に榊原は”にゃん”と答えて友のピンチを救う。宿敵・東郷は癇に障ることを赤場の顔すれすれのところでくどくどしゃべってうっとおしいし、腰巾着の根津は爬虫類のような目つきだ。氷室の俺様な態度や大鷹のお約束的な爽やかさと正義感、奥園はメガネの奥の瞳を鋭く光らせ、皆、原作ファンを裏切らない。
また、新たに加わった新1年生も上級生が霞むくらいの存在感とキャラ立ち。そんな面々全てに見せ場があり、ときにはソロ曲もあったりする。とにかく抱腹絶倒、笑って、笑って、時折、ホロリ。キャストの熱演はドロドロした権力闘争とは裏腹に清々しい。
ところで赤場帝一は無事に生徒会長になれるのか?美美子とはどうなるのか、この先は”現在進行形”、続編もハイテンションな展開を期待したい。

なお、ゲネプロ前に演出家から挨拶があった。「熱い舞台をお届けいたします。演劇Rockフェスのように騒いで頂いて結構です。”面白いぞ”とか言って頂いて結構です!」ゲネプロでも客席は大いに盛り上がり、爆笑につぐ爆笑であった。

【第二章】學蘭歌劇『帝一の國』-決戦のマイムマイム-
/http://www.nelke.co.jp/stage/teiichinokuni02/

2015年7月12日~20日
AiiA 2.5 Theater Tokyo
2015年7月25日~26日
梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティー
原作: 古屋兎丸「帝一の國」(集英社 「ジャンプSQ.」連載)
脚本: 喜安浩平
演出: 小林顕作

【第二章】學蘭歌劇『帝一の國』-決戦のマイムマイム-
(C)古屋兎丸/集英社
《高浩美》
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