海外での評価も高い映画監督・園子温氏の完全オリジナル最新作『ラブ&ピース』が6月27日より公開中だ。本作は園氏が映画監督を夢見る無名の若者だったころに書き下ろした脚本を、25年の時を経て、ほぼ当時のままの内容で蘇らせた映画。同監督初の試みとして、独特の世界観を作り出す特撮が随所に用いられている点が大きな特徴となっている。7月10日にTOHOシネマズ新宿で、本作の重要なパートを担った特撮技術について語り合うイベント・特撮トークナイトが開催された。登壇したのは特技監督を務めた田口清隆氏、プロデューサーの大月俊倫氏、音楽担当の福田裕彦氏、特撮研究家の氷川竜介氏。さらに主人公・鈴木良一の同僚役を務めた大沢まりをさんも登場した。田口氏はイベントにて、「園さんの演出を目の前で見れたのは楽しくもあり苦労もあり、実になりました」とコメント。これまで低予算が多く、今回のように贅沢な制作体制はなかったのだという。さらに田口氏は「実験みたいにできてよかった」と喜びを語っていた。また福田氏は、園氏が音楽に対しても納得がいくまでずっと食い下がる、こだわりを持った人であると話した。あるシーンで一時間にわたり「『あそこは俺の中では『時計じかけのオレンジ』なわけ」と、有名なベートーヴェン交響曲第9番の再現を熱望されたエピソードも披露した。福田氏によると、「そのシーンだけで映画1本分くらいかかった」とのこと。また会場では、『ガメラ 大怪獣空中決戦』などで特技監督を務めてきた樋口真嗣氏からのメッセージも紹介された。本作を見た樋口氏は田口氏に向けて、「カメの怪獣が東京をメチャメチャにした映画の代表がこの一作で変わる!のかよ?ちくしょう!田口め!やりたい放題じゃねえか!悔しいが、でかした!」という熱いメッセージを送っていた。田口氏は「平成ガメラを観てこの道を志した人間としては、カメのこの映画でこう言ってもらってうれしいですね」と感無量の様子だった。
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