士郎正宗によるコミックス『攻殻機動隊』誕生から25年、いよいよ攻殻機動隊の新たな長編作品が公開となる。『攻殻機動隊 新劇場版』と銘打たれた本作は草薙素子たちが公安九課へと至るまでの物語。いわば『GHOST IN THESHELL/攻殻機動隊』や『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』の前日譚である。2013年から劇場公開、そしてTVシリーズとして描かれてきた『攻殻機動隊ARISE』のその後の物語でもある。『新劇場版』公開前夜である6月19日(金)、TOHOシネマズ新宿では『公開前夜!攻殻機動隊25周年記念オールナイトイベント』が開催され、上映前の約一時間、スタッフトークショーが行われた。登壇者は黄瀬和哉総監督、脚本を担当した冲方丁さん、Production I.Gの石川光久社長、そして押井守監督、神山健治監督だ。『攻殻機動隊』という作品を軸につながる軌跡を体感する貴重な時間となった。黄瀬総監督と冲方さんは『ARISE』シリーズとして劇場上演作を4本、それを再構成しつつ完全新作も加えたTVシリーズを経て、『新劇場版』へと至った。作品作りを成立させるためのスタッフィングとして、石川社長は冲方さんを説得することをまずひとつの大きなミッションだったと語った。その段階ではまだ総監督が誰になるのか決まっていなかったと打ち明けた。そして白羽の矢が立ったのが黄瀬総監督だったという。石川社長はProduction I.Gの大切なコンテンツである攻殻機動隊を、黄瀬総監督が壊して作り直すやり方を見て、「黄瀬は本当に壊した。でもやはり新しい攻殻のために必要だった」と語った。途中からはトークショーに押井監督と神山監督も合流、アニメ『攻殻機動隊』を作り出したクリエイターが一同に会した。『新劇場版』の感想を、神山監督は「攻殻機動隊を分かりやすく描くことに成功していた。携帯からスマホに変わったように、テクノロジーは進化しているが、前日譚ともなるとそうは行かない。そこを非常にうまく描いていた。冲方さんと黄瀬さんに拍手を贈りたい」と語った。押井監督は「黄瀬が作るんだから絵がいいのは当たり前。何より冲方さんの脚本がいい。余計なことをやっていない。素子は全攻殻シリーズの中でも一番いいと思う」と賛辞した。押井監督は「『新劇場版』の素子は黄瀬の想いが結実した姿になっていたと思う。そうしなければ前髪パッツンなんてしない」と一新されたキャラクターデザインについてもコメント。キャラクターデザイン発表当初、話題となっていた素子の前髪に関しては神山監督も「素子のイメージを根底から変えるデザインだったと思います」と話した。最後に「果てしなく重たいバトンを渡されてから数年が経ち、ようやくここまで辿り着きました。また新たなシリーズをコンテンツとして産み出してほしいなと思っています」とコメントした冲方さんから引き継ぐ形をとったのは押井監督。「この先、役割として回り回ってまた自分、ということもあるかも知れません。そういう要請があればやらざるを得ない」と語る。石川社長が「『新劇場版』はゴールではなく、新しい種が生まれたんだと思っています」と述べた。『攻殻機動隊』の展望に大きな期待を抱かせたまま、大盛況のうちにトークショーは終了した。『攻殻機動隊 新劇場版』TOHOシネマズ新宿ほかにて6月20日より全国ロードショー
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