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「ダンガンロンパ」の魅力的なキャラクターはどうやって生まれる?小高氏がサンフランスコで語った普通の手法

『ダンガンロンパ』シリーズを手掛ける小高和剛氏は「普通じゃない物語を作る、普通のプロセス」と題した講演をサンフランシスコで開催されているGDC2015で行った。

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思いつくだけのキーワードを並べてみる
例えば、「格闘家」(背景)、「超パワフル」(見た目)、「ストイック」(性格)という3つのキーワードを選んだとします。ただし、これだけだとありきたりです。そうした場合には「何かを追加する方法もある」ということで、見た目に「セーラー服」を足してみましょう。これで出来たのが初代に登場した大神さくらです。
また、「ヤクザ」(背景)、「ベビーフェイス」(見た目)、「攻撃的」(性格)で出来たのが九頭龍冬彦です。
さらに、「ポップアイドル」(背景)、「普通の学生」(見た目)、「かわいらしい」「家庭的」(性格)というキーワードから生まれたのが舞園さやかです。

キーワードを組み合わせた後は「役割」を加えるそうです。これは主人公との関係性や全体の中での立ち位置を表します。小高氏は舞園さやかを例に、「こういう可愛い子とは一緒に居たい」と言い、ゲームの「ヒロイン」で、いつも一緒に居る為には「探偵の助手」という役割を与えて、さらにベタに「幼なじみ」を加えてみたとしました。

最後は「出来事」(エピソード)です。ヒロインである舞園さやかに与えられた「出来事」はなんと最初の犠牲者。しかも、誰かを殺そうとして返り討ちにあってしまった上に、その罪を主人公になすりつけようとしていたという最悪のヒロイン設定が与えられます。小高氏は「キャラクター性とギャップはあればあるほどいいと思っています。これで誰もが彼女に興味を持ちます」とコメント。
とはいえ、ただの悪女では愛されるキャラクターになりません。何か彼女を突き動かした理由が必要です。『ダンガンロンパ』は誰かを殺してバレなければ脱出できるという物語ですので、どうしても外に出たかった、それはアイドルになるという夢と仲間のためという理由が舞園さやかに与えられます。

予想外の出来事で、プレイヤーを驚かせて、それを説明するエピソードでキャラクターに深みを与えていく。小高氏はこの繰り返しでキャラクター作りを行っているそうです。
一方、これをやり過ぎるとキャラクターがコマのようになってしまいます。都合の良いコマではなく、魅力的なキャラクターとユーザーに映るためには「愛のあるエピソードを考えてあげないといけません」(小高氏)。

加えて、『ダンガンロンパ』ではキャラクターの魅力を際立たせる2つのシステムがあるということです。
1つは好感度を上げるイベントです。プレイヤーは他のキャラクターとの関係性を高めようとしますが、物語の性質上、次に誰が死ぬかはプレイヤーには分かりません。せっかく仲良くなったキャラクターが死ぬという喪失感、聞きそびれた話しなどがキャラクターに深みを与えることになると小高氏は述べました。
もう1つはキャラクターが処刑される際の「おしおきムービー」です。柔らかいテイストとは対照的に恐ろしいムービーではありますが、「キャラクターの最後の見せ場」ということで、そのキャラクターに合った面白い殺し方を描いているそうです。

このように幾つかの手法が説明されましたが、小高氏は「つまりはキャラクターに対する愛が絶対的に大事」だと言います。愛があるからこそ、キャラクターやエピソードを深く書くことができ、それがユーザーにとって魅力的なものとして映るわけです。だからこそ、自分で好きになれないキャラクターを作ることは無いと小高氏は強調しました。
そして、だからこそ、作り手は様々な「好き」を持っておく必要があると言います。そうでなければ、生み出せるものの幅が限られたものになってしまいます。ゲームだけでなく、マンガやアニメ、映画など様々なエンターテイメントで「好き」を見つけて欲しい、そしてついでにVitaの事も好きになって欲しいと話し、再び会場を笑いに包みセッションは閉じられました。 

[/INSIDEより転載記事]
《土本学@INSIDE/www.inside-games.jp》
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