11月23日(日)に行われた海外マンガフェスタ2014のトークライブ第2弾は、イラストレーターで漫画家のペネロープ・バジュー氏、『テルマエ・ロマエ』が空前の大ヒットとなり世界で活躍する漫画家ヤマザキマリ氏を迎え行われた。司会は猪俣紀子氏。パリで暮らすペネロープ氏は、アラサー女子である自身の日常をユーモアたっぷりに描いたブログがフランスで爆発的な人気となり2008年に単行本化、作家デビューを果たした。その後もさまざまなメディアで活躍を続け、フランス国内でオピニオンリーダー的存在に。今年10月には日本語版『ジョゼフィーヌ!』も発売されている。ヤマザキ氏は『ジョゼフィーヌ!』について「マンガだけでなく本そのものが売れなくなっている中で、フランスで30万部売れた人気作。ずっと読んでみたかった」。読んでみると絵柄のかわいさ、色彩の美しさに心を掴まれた上、世界のアラサー女子が抱えている葛藤や悩み、耐えていることは同じなのだと驚かされたという。また、深い内容なのに明るく飄々と展開していく作風は日本の作家には表現できないものだと絶賛した。続けてヤマザキ氏は『ベルサイユのばら』など海外を舞台にした過去のマンガといえば、その世界は架空のもので自分たちは垣間見る存在だという視点だったが、『ジョゼフィーヌ!』は自分の中に覚えのある、求めている答えを示唆してくれるようなマンガだと指摘。「このあるある感がたまらないです」と作品に引き込まれていったようだ。猪俣氏の「バンドデシネ(BD)は男性作家や男性向け作品が多かったですが、そこで新しい作品をやろうと思ったのでしょうか?」という質問にペネロープ氏は「BDは女性作家が台頭していますが、それは私と同世代かもっと若い世代です。これを可能にさせたのは女性読者の増加で、若い世代は女性でBDを描くのも読むのも増えています」とこたえてくれた。また村田雄介氏とジム・リー氏のトークライブでも話題になった、作品を描くペースについてペネロープ氏は、雑誌や広告向けのイラストの仕事もしつつ、BDを1年に1冊出すようなサイクルだという。ヤマザキ氏の「そのスパンで本を出版していて、生活費はどうするのでしょうか?」という質問には、「BDだけで生計を立てられる人はごくわずかで、美大で講師をしたりジャーナリストとして新聞記者をやりながらBDを描いている人もいます」。さらにフランスでは作家のアーティスト性が強いため、日本の出版社と作家の関係とはまた異なるようだ。フランスでも大人気だという『テルマエ・ロマエ』について、ヤマザキ氏はなぜ売れたのかという疑問を「フランスには『アステリックス』というマンガもありますよね。古代ローマが征服したはずのガリア人がまだ生き残っていて、古代ローマを征服するというギャグマンガ。『テルマエ・ロマエ』が売れた時、もしかしてフランス人ってイタリア人が困るお話が好きなのかなって思ったんですよ。ルシウスが困ったりしてるのが良かったのかな」と分析。 ペネロープ氏は「それは一理あります。フランス人は負けず嫌いで、負けていても解釈を変えて実は負けていなかった! みたいな妄想で雪辱を果たすみたいな部分があると思う」とヤマザキ氏の分析が正解だとした。 ライブペインティングでは両氏ともにキャラクターの横顔を描き披露、ライブトーク第2弾も会場の熱い注目の中終了した。 [川俣綾加]
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