「そもそもエルサが、自分を押し殺して生きなくてはならなくなったのは、両親があの氷や雪を操る能力を、社会に適応するために生きられるようにと徹底して封印するように育ててしまったからでしょう。エルサはそれによって、自尊感情を持てなかった。だからそんな社会に背を向けてでも自尊感情を取り戻す『Let It Go』が感動的なわけで」 Nは珍しく、素直に頷いている。
「まあ、その通りだね。あと、それだと完全にエルサが主人公になってしまって、アナの立場がない。というかいらないキャラになってしまう。……というわけで、アナはエルサを救えないはず、と思うわけ。このあたりが『Let It Go』の出来が素晴らしかったから、エルサのキャラクター性を変えて、ストーリーも変更したということの結果のようにも思うんだよね」 Nは、そこでちょっと眉をしかめた。