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スクイテンはその圧倒的な画力で、メビウス、エンキ・ビラルと並び称されるほどの人気を世界各国で博している。繊細な描線の表現や計算しつくされた構図が持ち味で、特に、建築物や都市の描写に関しては、右に出る者がいないと言われている。
『闇の国々』は、そのスクイテンの代表作として知られている。現実世界と紙一重の次元にある謎の都市群〈闇の国々〉を舞台に、奇妙な事件の数々が繰り広げられる。細密画のようなアートにより奇想天外なSFが展開する。
シリーズは、現在までに正編12巻、番外編12巻が出版されている。また、これらは世界各国10以上の言語で翻訳をされている。
しかし、これまでに日本での単行本出版はなかった。今回はシリーズ初邦訳として、シリーズ中でも特に傑作として名高い3作品、『狂騒のユルビカンド』、『塔』、『傾いた少女』をまとめた。翻訳は古永真一さん、原正人さんが手がけた。厚さ400ページものボリュームが圧巻だ。価格は税込み4200円となる。
小学館集英社プロダクションは、近年関心の高まっている海外コミックスの出版に力を入れている。フランスの作品では今年9月にアニメーション映画『ペルセポリス』の監督としても知られるヴィンシュルスの話題作『ピノキオ』を発売、7月にはスペイン発の傑作『皺』(パコ・ロカ作)といった注目の作品をリリースしている。
『闇の国々』
作: ブノワ・ペータース
画: フランソワ・スクイテン
訳: 古永真一・原正人
定価: 4200円(税込)
発売日: 2011年12月17日頃
小学館集英社プロダクション /http://books.shopro.co.jp/