技術系・情報系となっていたためか参加者の半数がプログラマー志望、また高校生からが対象となっているのもあってか半数が10代という結果にもなった。なお、このセミナーは今年3月に行われる予定で、東日本大震災の影響により中止となった「第4回ゲームフロンティア in 福岡」の代替措置も兼ねていた。
質疑応答からはレベルファイブ社長の日野晃博氏、サイバーコネクトツー社長の松山洋氏とガンバリオン社長の山倉千賀子氏が登壇した。
「他社のゲームで凄いと思ったことを自分たちでもやろうと思うか」という質問に対しては、
「他がやったことが悔しいと思って次につながる感じ。パクることはよくないと最近しみじみ思う」（日野）、
「他社の技術で凄いと思うことは日常。パクること自体が悔しい。悔しすぎてやらない」（松山）、
「悔しいなと思ってもそれ以上のものを、これを超えてやろうと思って次の作品に活かす」（山倉）
といった答えが聞かれた。
また「HDのゲームだと海外のテクノロジーって凄く高いじゃないですか。とはいえそれを後から追いかけて自分たちが同じものをやっても勝てるわけがない」（松山）といった海外を意識した発言も。
「それはそれで自分たちしか持ってないものを武器としてやってると思いますし。特に日本人はそうなんじゃないかと」（松山）。
「ゲーム会社を自分で作ろうとした場合にどんなところに気をつけた方がいいか」という質問もなされた。日野氏はこれまでの自身の経験を背景に「ゲーム会社を作ることは正直言って今、非常に困難だと思います。かかる開発費とかが膨大で、多少の資金力では出来ないです。ただ1つだけ言えるのは、ゲームに憧れるあまり、会社を作ることが目的になってしまうとたぶん上手くいかない。どんな手段でも作りたいものがあって、作る必要があれば会社を作ればいいし、そうでない方法で作れるなら、しっかりとした経験と地盤が出来てから自分の会社として独立すればいいんじゃないかな」と語った。
「自分の使える労力を、頭のエネルギーをゲームを作ることに注げるような状況で始めないと多分ダメだと思う」。また「見落としがちなんですけど、ゲームを作るクリエイターは技術のプロじゃないですか。会社は経営のプロってのがいるんですよね。ゲームを作りたいから会社もって安易な形でやってしまうとなかなか難しいと思いますので、是非その辺は心がけて」（山倉）といった意見も。
そして3人による総括が述べられた。
「日野さんも先ほど経営に関することも言ってたんですけど、この業界、甘くないことは確かです。本当に命を賭けないとこの仕事出来ないです。なので、沢山情報を集めて、沢山勉強をして、その上で本当に自分でこの道を選ぶっていう覚悟が出来た人にこの業界を目指してほしい」（松山）。
「自分のやりたいこと、楽しいと思うこと、嬉しいと思うこと。これに時間を費やせれば、人生を費やせればこれに勝る幸せはないなと思います。ゲームを職業にしたいと思われてる方もいらっしゃると思うんですけど、これから先、自分がどういう人生を生きたいのかよく考えて。もしそれが本当にゲームだったら私たちはとっても嬉しいです」（山倉）。
「この作品で遊んで勇気づけられましたとか、人生で生き詰まってたところを抜け出せましたとか、そういうのを手紙でもらうことがあって、それを読むとやってきて良かったなと思います」（日野）。
それから日野氏は「スタジオジブリのような手の届かない存在だと思ってた会社と一緒に仕事をすることが出来たり、子供の頃からガンダムのプラモデルを買っていたのに、今の本当のガンダムに関わることが出来たりとか。ゲームばっかりやってきたのに、ゲーム以外のことまで含めて、楽しいことが沢山出来るようになった。物を作って少しでも人を幸せにしたご褒美だと思ってます。なので苦労をしてでも入る甲斐のある業界だと思ってますんで、是非楽しい仕事をしたいと思います。みなさんどうぞ頑張ってください」と締めくくった。
【真狩祐志】
福岡ゲーム産業振興機構 /http://www.fukuoka-game.com/
当サイトの関連記事
/福岡ゲーム産業振興機構 第4回ゲームフロンティア開催
