文化庁メディア芸術祭 本年は部門ごとの独立性を重視 | アニメ!アニメ!

文化庁メディア芸術祭 本年は部門ごとの独立性を重視

レビュー 展覧会

 今年で14回目を迎える文化庁メディア芸術祭が、2月2日から12日間の予定で始まった。上映会やシンポジウム、ワークショップなど様々な企画が用意されるイベントだが、最も多くの人が足を向けるのは、国立新美術館にある展示部門だろう。
 展示されるのは受賞作品に審査員推薦作品も加え、数百にも及ぶ。2011年のメディアアートの現在が、ひとつの空間に収められまさに圧巻だ。また、メディア芸術祭の最大の特徴であるアート、エンターテイメント、アニメーション、マンガという異なった4分野がクロスオーバーも体験出来る。

 そうした展示部門の展示方法は、毎回一様でなく、年ごとに異なったコンセプトが見られる。今年の展示方法は、例年に較べてより整理された、分かり易い展示が目指されたようだ。会場は領域ごとに区切られて、さらに入り口から出口まで順路が導入される。
 会場を入って直ぐはアート部門、ここは現代美術の展覧会の様に手際よく作品が並べられる。視覚的なもの、体験型のものそれぞれの作品に応じた見せ方を凝らす。

 これを抜けるとマンガ部門だ。大きく拡大されたマンガの絵を壁に、作品の原画などを展示する。それぞれの原画は、作品の見せ場ばかりでファンにとっては目が離せない。続くアニメーション部門も同様で、作品の映像紹介と原画や絵コンテ、背景などが並ぶ。
 ただ両部門でやや物足らないのは、マンガとアニメーションは作品そのもの全編見ないと理解し難いことがネックになっている点だ。それだけに作品の断片を展示している感があり、例えば作品世界を紹介するテキストなどがもっとあれば作品を知らない人にもより近づき易いのでないかと感じた。

 最後のエンターテイメント部門はウェブやコマーシャル、ゲーム、デジタルガジェットと、メディア芸術祭のなかでも特に幅広い領域をカバーする。そうした特長もあり、展示作品もヴァリエーションに溢れ、カオスじみた様相を呈している。しかし、それは不快なものでなくむしろ心地良いカオスだ。
 むしろ今回の展示はあまりにも整理され過ぎて、メディア芸術のクロスオーバーな刺激、相互の刺激が薄れているように感じた。これまでの展示では来場者が感情に任せて、それぞれの領域を気にすることなく自由に行き来きしていた。アニメやマンガの向こうに現代アートが、ゲーム映像の隣から映像インスタレーションが見えたりといった具合だ。
 それだけに今回は作品鑑賞のあり方が定型化された感じだ。来場者数が増えたことに対する対応や、かならずしも各分野に詳しくない来場者が多いという事情が、こうした展示方法の理由かもしれない。ただ、自分の見たいように見たいわがままな鑑賞者にはやや不自由かもしれない。
[数土直志]

第14回文化庁メディア芸術祭/http://plaza.bunka.go.jp/festival/
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