10月23日から31日まで、アジア最大の国際映画祭である第22回東京国際映画祭が開催される。開催まで一カ月を切るなかで、各上映作品が続々と発表されている。上映作品は映画祭の目玉となるコンペティションをはじめ、アジアの風、日本映画ある視点、WORLD CINEMA、natural TIFFの各企画部門、特別招待作品、そして共催企画や提携企画である。 本年の特色はこれまでも映画祭の特色であったアジア映画の両作が揃ったことだ。台湾や中東にフォーカスした企画が注目を集めている。一方で、これまで華やかさにかけるとされて来た映画祭で、大作映画の上映を拡充する。オープニング作品となったのはハリウッドの話題作『ソーシャルネットワーク』、そしてディズニーの大作3DSF映画として注目を浴びる『トロン:レガシー 3D』のスペシャル・プレゼンテーション』も行われる。 そうした中で、アニメーション映画のプログラムも出揃った。前年ながら本年はアニメーションにフォーカスした企画部門、共催企画や提携企画はなく、数ある企画のなかにそれぞれアニメーション作品が含まれるかたちだ。 まず、注目されるのは米国から出展される2つの3D映画である。今年の東京国際映画祭は3D映画に力をいれており、特別招待作品にユニバーサルスタジオによる『怪盗グルーの月泥棒 3D』、ドリームワークス・アニメーションの『シュレック フォーエバー』がラインナップされている。いずれも米国での大ヒットという実績を掲げてのものとなる。 特別招待作品では『チェブラーシカ』と12月に劇場公開される『くまのがっこう~ジャッキーとケティ~』を並べたプログラムが設けられた。『くまのがっこう』は初公開、ワールドプレミアとなる。 また、特集企画のなかの「映画人の視点」では、アニメーション監督のりんたろう さんも取りあげる。りん監督を招いたオールナイトイベントでは、『幻魔大戦』、『カムイの剣』が上映される。 このほか子どもから大人まで楽しめる映画を上映する みなと上映会は、3つのプログラムのうち2つがアニメーションとなる。プログラムAは英国の『まいごのペンギン』、フインランドの『わたしゴリラ?』、イタリアの『ジョアンニの自慢のパパ』、ロシアの『ふたりのプリンセスといじわるな魔女』、そして日本からは『こま撮りえいが こまねこ』と各国から短編アニメーションを集めた。プログラムCは片渕須直監督の『マイマイ新子と千年の魔法』である。同じ映画祭で2年連続の上映という異例のものだが、昨年来続く、ファンの熱い支持が実現したものといえるだろう。 東京国際映画祭は、2000年代半ばには自主企画のAnimicsや提携企画のCG映画祭を中心に数多くのアニメ映画が上映されていた。しかし、ここ数年はそうした企画は廃止されており、アニメ映画の存在感は映画祭でほとんどなくなっている。 そうしたなか今年は企画全体のなかにアニメーション作品を取り交ぜる方向性があるようだ。しかし、日本の映像産業に占めるアニメーションの大きさに較べて、全体としてみれば東京国際映画祭の中でのアニメーションの比重は驚くほど小さいといえる。2011年以降の動きに期待したいところだ。第22回東京国際映画祭 /http://www.tiff-jp.net/ja/
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